第24話 石焼き芋

 有給の申請許可が下りたので、久しぶりに小旅行にでも行こうかと思ったのだが、休日に呼ぶことのできる友人がいないので一人で行くことにした。

 休暇当日。駅の階段を上るだけで息が切れてしまう。自分の老いを切に感じてしまった。今日は遠出をするつもりだったが、少し目的地を近い駅にしよう。

 到着した駅を降りると、既に正午を回っていた。駅周辺の飲食店を探したが目ぼしいものは無かった。結局、うどんチェーン店で簡単に食事することにした。

 空腹を満たした後は、町の景観を眺めつつ逍遥する。この町は住居に城下町の名残が見て取れる。昔風情の街並みを眺めながら、夕暮れまで遊山をしていた。

 日が暮れて駅に戻る途中、石焼き芋屋の独特なサイレンが聞こえてきた。郷愁に駆られて、焼き芋を一つ購入する。重たい甘さが胃もたれするが、悪くない。

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