第22話 霜

 十一月に差し掛かると、流石に半袖の上着を着るのは身に応える。なのでクローゼットから長袖のシャツを取り出して着てみる。腕を通すと袖回りが強く張られてしまう。それどころか、ウエストが矯正バンドのようにぎちぎちと締め付けられている。昨年買ったばっかりなのに、もう着れなくなってしまったのか。

 しょうがないので、自宅から徒歩十分の所にある洋服店に向かうことにした。とりあえず、ネットショッピングで買ったサイズの合ってないコートを羽織って出かける。あ、あったかい。店内は冬物のセールをやっていた。来店客も長袖に目を通している。着回せそうな長袖を数点買って、早速一着を着てみた。

 温もりを感じながら、帰路を歩く。道中、道端の野草に霜が降りているのに気がついた。もうそんな季節、わざと霜を踏んでみる。ザクっと小気味いい音がした。

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