第7話 ジェロニモ

 昔ある村の家屋に、次郎という男がいた。次郎は畑も耕さず、されど書を読むこともせず、ただ一昼夜を寝て過ごしていた。次郎は村の男の中でも体格がいいゆえに、毎日毎日あの穀潰しをどうしようかと、村人たちは悩んでいた。

 そんな日々はある日、唐突に崩れた。村の東から、国内で勢力を伸ばしていた一軍が騎馬隊を率いて、村を侵略しに来たのだ。村の男たちは必死に戦ったが、軽々と蹴散らされていく。女子供は捕虜にされてしまった。

 次郎は騒動を耳にして慌てて起きたが、既に村は蹂躙されていた。次郎は惨状を目の当たりにし、怒髪が天を衝くと、家から鍬を取り出し「この次郎を捨て置くのか!」と仁王の如く荒れ狂い、隙を突いた敵に討たれるまで、鍬を猛獣のように振り騎馬隊をぶちのめした。次郎は「次郎仁猛王じぇろにも」として各地の武将に恐れられた。

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