第5話 カモ

 カルガモの行進、といえばおおよその人は同じ光景を思い浮かべるだろう。カルガモ親子が縦列を成して道を横断する、あれだ。皆にも馴染みあると思う、私にもある。というのも、カルガモの列はいつも自宅内を決まった時間に横断するから、――おっと、もう午後の三時だ。そろそろ来るだろう。

 ほら、台所からやってきた。いつからか、この家にはカモの親子が列を組んで、廊下を横断してくるようになった。最初の親子は勿論カルガモの親子。よちよち歩きで家内を歩く。続くのはマガモの親子、さらにはコガモ、アイガモ、オナガガモ、スズガモ、カモ科のアヒル、コシジロガモ、カモノハシ、そして……カモメ。

 カモの親子たちは台所から姿を現し、ぺたぺたと歩き続け、庭に出て、外に消えてゆく。ずっとこの行進を見ているが、カモたちがどこへ向かうのかは知らない。

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