第4話 インク
私はコピーライターをしている。今日もクライアントに依頼され、新たに販売する医薬品のキャッチコピーを考えていた。
私は昔からの癖で、思いついた案をまずは原稿用紙にメモをすることにしている。万年筆で取り敢えず九十案ほど著し、再びインクをつけようとする――。
――おっと、インク瓶を倒してしまった。零れた黒インクが草案を記した用紙中を漆黒に染め上げてく。残念だがこの用紙はおしゃかになってしまった。
ほぼ黒色に染まりきった用紙を丸め、ごみ箱に投げ入れる。
しかし、私は気付かなかった。そのインクが滲みを止めず、侵食を進めていたことを。そして、ごみ■を黒く染め、■■を染め、オ■■ス■ェアを染め、私自身の体を下半身から染■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■。
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