第3話 スタック

 天気予報を確認せずに外出してしまったので、まさか今晩に大雪が降るとは思わなかった。おかげで私は、うず高く積もった雪に自家用車をスタックさせてしまった。ノーマルタイヤなので、発進することもままならない。

 どうしたものか……。車を出て立ち往生してしまう。自動車保険は降りるだろうか。などと考えていると、私は、車のある違和感に気付いた。

 雪に埋もれているはずの車が、徐々に沈んでいるのだ。雪が解け始めたのかとも思えたが、夜も更けこんだ現時刻では、雪が解ける訳はない。ならば何故?

 そう考える間にも、車はどんどん沈んでゆく。積雪の下は道路のはずだが、車はまるで底なし沼に陥ったように、みるみるその姿を雪に沈めてゆき、遂に車は雪に沈みきってしまった。私は何も出来ずただ呆然と見ていることしか出来なかった。

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