第6話 手作りチョコレートは誰に届けるのか

 「はい、あーん。……どう?」

 「うーん。もうちょっとチョコのざらつきが少ないといいかな」

 二月七日、一週間後に迫るバレンタインプレゼントの味見をしてほしいと、幼馴染みのゆうに頼まれ、智樹ともきはかれこれ一時間、彼女の手作りチョコを味見していた。

 「そういえば、悠は誰にチョコを渡そうと思ってるの?」

 「いつもお世話になってる人に、せめてもの感謝の気持ちを伝えたくて」

 「俺で良ければ喜んで協力するよ。大切に作れば、絶対に気持ちは届くから!」

 「……うん、ありがと。あっ、もう帰る時間……」

 智樹が手を振って帰っていく。悠は家に戻ると、先ほどのアドバイスを意識しながら、すぐにチョコ作りを再開する。智樹に届けるための手作りチョコレートを。

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