第4話 太陽は常に東から昇るのか

 「西から昇った太陽が~」

 「いや、太陽は東から昇るものだからね……」

 僕たちは日の出前の森を歩いていた。妹が鼻歌交じりに歌を歌ってる。

 「ねぇお兄ちゃん」

 「どうした?」

 「私たちは、いつお家に帰れるの?」

 三日前、僕たちは朝目覚めると、鬱蒼とした未知の樹海に横たわっていた。そこかしこに生える樹木には枝葉が隙なく絡み、空模様さえ満足に確認できなかった。

 「あっ、お兄ちゃん、お日さまだよ!」

 日光が隙間から零れ始める。森中を照らす太陽も東から昇っているのだろうか。



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