第3話 テレビ

カズマは、入社式で一緒に昼を食べた元ラグビー部の信夫と仲良くなった。研修期間もずっと一緒にいて、いつしかお互いをカズ、ノブと呼ぶようになっていた。ノブは人と仲良くなるのが得意らしく、知り合いがたくさんいる。ノブは人によく話しかけるからかとカズマは自分に言い聞かせた。カズマはノブと仲良くなればなるほどどこかで悲しくもなっていた。今日も昼飯をノブと食べることに。カレーが某イチカレーにいった。トッピングの種類の豊富さが好きでよく行っている。食べながらノブが突然話があると言い出した。カズマは仕事のことだと思い聞いていると、「カズ、お前テレビ出るか?」とノブ。なにいってんだこいつの目をして「なにが?」

「だから、テレビ出たいか?ってきいてんの」と目をキラキラさせて言ってきた。「なんで?それはあれですか、見世物小屋みたいな笑われるやつか?」というと、ノブがすこし引いていた。まただ、悪いクセ。


話を聞くと、町のイケメンビジネスマンを紹介する番組で一般の人から募集しているようだ。それにカズマを誘っている。他薦のみで募集しており、推薦した人も番組に出れるらしい。ノブはお祭り野郎だからテレビに出たいのだろう。

カズマは「いや、俺はいいわ。」と気だるく返事すると、「カズ、イケメンなんだし出ようぜ。」と食い下がるノブ。

イケメンなんて言われると嬉しくなるカズマだが、微塵も出すまいと

「はぁ?おれがイケメン?ないない。」

「そうか?俺はいいと思うし、それにカズお前顔嬉しそうだし。」

カズマの照れ隠しなんてノブには通じなかったようだ。というよりもカズマは顔に出やすいようだ。

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