第5話 女性になるあなたへ
「女性になるあなたへ」
とその建物の看板には書かれていた。僕は麻里に言われるがまま政府の女性化を希望する男性向けの案内施設へと来ていた。
「ここに入ったら女の子にされちゃうのか……」
そうぼやく。なかなか建物には入れないでウロウロとする僕。
するとだ。
「すいません、女性を目指している男の方にアンケートがあるのですが、3分ほどで終わるので答えていただけませんか?」
と30代ぐらいの女性に声をかけられる。
「いや、女性にはなりたくないのですが不可抗力でして……」
と打ち明けると女性は目を丸くするとうれしそうな声で、
「もし男性のままでいられるとしたら?どんな条件でも呑めます?」
ははは、またか。どうしよう。でもね。契約書でもう彼女と離婚したら、女性化って決まっているしな。無駄な努力に違いない。
「いや、最終結婚で離婚したら法律的にどうも僕は女性化決定みたいでして、そのいいです。もう僕諦めるしかないみたいです。」
女性は僕の耳元で
「世の中には裏というものがあるんですよ。旦那!」
そして勇気づけるように肩をたたく。
「ま、おばさんに任せておいて!ここじゃなんだから、いいとこで話そ?ね?」
そうして僕はずるずるとそのおばさんに引きずられるように、ホテルへと連れ込まれるのであった。
そのホテルはいかがわしいホテルではあったがオシャレでよく整っていた。
部屋にはいるとおばさんは名刺を渡す。
そこには
「実質独身のままで男性でずっといられるとしたら?どうする?」
と書かれていた。
「え?」
「ふふ、驚いた?単刀直入にいうね。世の中は結婚が義務づけられているよね?でも女性にも結婚したくない女はいるのよ。利害条件合うでしょ?つまり仮面結婚をして、既婚者だけど、お互いに独身者として生活する。という条件で男性のままいられるという作戦なのよ。どうする?」
それができたらどれだけ良いことだろうが、
「でも今の妻、麻里はきっと僕を許さない。離婚したら女の子になる約束で結婚したわけだし」
「お金で解決するから問題ないよ?君の相手は一生独身ですごしたいセレブの女性だから。その麻里って子との交渉は任せておいて!安心して。」
僕は不安が止まらなかったが、ほかにどうすることもできず。
彼女に一任することにした。
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