第4話 花言葉
そのメッセージが麻里から届いたとき、なぜか僕は体が震えるのが止まらなかったんだ。それは自分が自分で無くなってしまう恐怖。それは優しい謝罪の言葉だった。そんな言葉を麻里からもらえるなんて僕はかけらも信じなかったから、気づいちゃったんだ彼女の怒りに。彼女は僕にとって世界だった。世界はなんて綺麗で残酷なんだろう。
「直接、私寛さんに謝りたいの。」
そのメッセージが届いた瞬間僕は荷物をまとめ、麻里と暮らしていた新居を出ることを心に決めた。家に帰ると素早く最低限の荷物をまとめる。
さようなら麻里、さようなら今までの世界。
ドアを開けよう。
新しい一歩を踏みしめよう。
そしたらその先に待っているものはパンドラの箱から最後にでてきたもの。
希望。
……のはずだった。
ドアの外には麻里が待っていた。
無表情で立っていた。
ただ一輪の花を携えて。
黄色とオレンジが混ざった綺麗な花。
その花の名前を僕は麻里から聞かされる。
「寛さん、ごめんね。この花を受け取って?」
彼女はとても優しい。
「うん」
実は僕今君から逃げようとしていた。でも逃げなくて良かった。
「この花、麻里ゴールドっていうの。マリーゴールド。」
彼女は優しく僕にその花を手渡すといった。
「花言葉、寛くんに捧げるね。」
ああ、僕はなんて愛されていたんだろう、束縛される愛。
それでもそれは愛に違いない。
「麻里のイメージにぴったりな花だね!」
僕はつとめて明るく言う。
とその時彼女は感情のこもらない透き通るような冷たい声で僕に言い渡す。
「絶望、だよ??」
え、 ええええ、
「絶望って、なんで?え?」
「だってヒロくん、私が君を2度と浮気できないカラダにしてあげようとするのを逃げようとしてたんでしょ?」
ズバリ的中。
「逃がさないからね。抵抗しても無駄だよ。執刀医は私だから!」
え、執刀医?
「だから、わかるでしょ。大丈夫痛くしないから。」クスリと若い女性特有の笑い方をする麻里。
「こう見えても私名医なんだよ?女の子にされる時ね、男の子は悪寒がするんだって、かわいそうだから、やさしくマッサージして恐怖心をやわらげてから、切ってあげるんだ。大丈夫、切り終わったら、もう女性として清々しい気持ちにみんな変わるみたい。」
その何を切るのでしょう麻里さん。
「あ、まだ自分の運命が信じられないんだ?じゃ、この教育施設にいってくるといいよ。一応いっておくけど……。」
彼女は僕のその部分にやさしく触れると
「逃げたりしたら、ココを無理やりチギっちゃうからね。おイタしないのよ?」と言い、僕に封書を渡した。
その封書には「女性になる皆さんへ」と書かれており、少子化対策省のロゴが入っていた。
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