第6話 男の子オークション

ホテルの部屋で何気にTVのスイッチをつける。


「12時のニュースです」

アナウンサーの女性がまゆをひそめ続ける。

「セレブな女性の間で一人の男性をシェアして偽装結婚し、独身生活を謳歌するということが社会問題になっています」


ナレーションが入る。

「番組は偽装結婚の現場を直撃インタビューしてみました」


都内のある地下バー


「この男の子と結婚するためには2千必要です」

「この子かわいいじゃん、百万円」

「2百」

次々と入札の声。


「みなさんの協力で予算達成です!」


レポータの声。

「信じられますか?いま一人の男性との結婚の権利が2千万円で落札されました。落札したのはこちらの七人の女性です。」


「だってー、結婚とか普通にしたらメンドくさいじゃん。お金で解決するのが一番だよね」

そうそう!と頷く残りの女性たち。

「スカウトが用意した男の子は婚前契約書でガチガチに縛るので、安心して結婚できますし」


……。僕は7時のニュースを見て衝撃を受けていた。

僕もこうして買われていくのだろうか?


昔の人は一夫多妻が男尊女卑だと言っていたらしい。だが、一夫多妻の現実とは女性同士が示し合わして一人の男性をシェアするという、男性にとって過酷なものに他ならなかった。


ニュースによるとシェアされた男性はよほどタフでない限り、男性を辞め女性になる道を選ぶらしい。


そっか、もう諦めるしかないんだ。


優しいお嫁さんを見つけることができなかった僕はもう女性になるしかないんだ。


だったら、彼女に執刀してもらった方が良かったかな。


女性になる恐怖心から悪寒がするときは優しくマッサージしてくれて、僕はきっと安心して男性を辞めることができるのだろう。


僕のお嫁さん、女性化手術専門の名医だったらしい。


不覚にも今僕はググって妻の職業を知ることになった。

どうせなら、名医にと思って調べてみたのだ。


そこには愛おしい妻の名前があった。


どうしよう。一夫多妻でシェアされる男の子となって惨めな人生を送るか、それとも名医の妻に女性化手術を依頼するか。


僕は携帯に番号を打っていく。もう連絡を待つのは辞めよう。こちらから連絡して新しい女性としての人生を切り開くのだと。
























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