第3話 誓い

「かなたよく頑張ったね。後はおねーちゃんにませかせて」


声を震わせながら俺に語りかけた。


「意味わかんねーよ、なんなんだよ」


ゆみなは泣き止み俺を離し、俺の肩に両手をのせて。


「私、決めた」


ゆみなは自分の席に戻ると、一回深呼吸をして昨晩の話を始めた。


「私ね、昨日の夜自殺しに山に自転車で行ったのその途中の公園で誰かの心の声が聞こえて私が自殺する所で今にも死にそうな人が居ると思って向かったらかなたがいたの、この子は若いし元気づけて助けなきゃと思って話しかけたら、まんまとかなたの策略にハマちゃったの、かなたわざと私を怒らせたでしょ。

怒って帰ってる途中に気がついたの。かなたの能力は人の過去がわかる能力でしょ。だから私が人を殺した過去がある事を知って私が山に来た理由が分かって止めるために私が親から隠れて呼ばれていた名前を呼んで止めた。違う」


今まで俺を助けようなんてしてくれる奴は居なかった。だからゆみなの言った言葉はすごく重く感じた。


(ありがとうな助けようとしてくれて)


「そんなもんたまたまだろ。しかも俺の人じゃない部分は過去がわかるんじゃない人の犯した罪がわかるだけなんだよ。普通の人が人の犯した罪がわかるか、人の心の声が聞こえるか、そんな事ができる時点でもう人じゃないだろ。人とは違うもっと醜い存在だ」


ゆみなは両手をテーブルに叩きつけて立ち上がった。


「だから私決めたの、昨日私はかなた会わなければ死んでたはずでも助けられた。だからこれからの人生全部かなたのために使う。かなたは自分を人じゃないって言うけど絶対私が変えてみせるからだから今日からここに住むことにした私も一緒にかなたは私が守るから」


「いらねーよゆみなの人生なんて、一緒に住むとかありえねーから出て行けよ」


俺を見てゆみながにっこりと笑った。


「はじめてゆみなって呼んでくれたね。本当はゆみなおねーちゃんがいいけど先約がいるからしかたないからゆみなでいいよ」

まてよ全然会話になってねーなこれ、てか俺いつぶりだろ誰かとこんなに会話したの。


「じゃあゆみな命令だ今すぐ出て行け」


「心の中で私と会話出来て嬉しいって思ったくせに、残りの人生かなたの為に使うって言ったけど物になるとは言ってない、これからずっと面倒見るってこと」


「ゆみなお前勝手に人の心の中覗きやがったなそんな奴と暮らせるか」


「違うの勝手に聞こえちゃう時があるの不可抗力よ」


(住むって今の家はどうすんだよ)

俺は試しに心の声で言ってみた。


「心の声で会話しないで、私人殺して親が耐えられなくなって孤児院に捨てられたのそれで昨日二十歳で自立するっていって出たから心配しなくても大丈夫」


これは意外と使える能力なのかもしれない


「都合が良すぎるだろ、でもなんで自立するって言って自殺しようとしたんだ」


「親に捨てられてから、私決めてたの孤児院で二十歳まで慈善活動して孤児院を出て自殺するのが私の罪の償い方だった、でもこの世にもまだ死ねない理由が今できたから神様に少し待ってもらうわ」


「はぁー分かったよ。好きにしろよ」


ゆみなはその場で飛び跳ねて喜んだ。


「やったーこれからよろしくねかなた。ところで名字はなんて言うの」


「仙波だ」


「いい名字ね。私がどうやってかなたを見つけたかと用件が本題だったね。用件は別に大したことないのよなんで私を助けたのか聞きたかったからよでも、たまたまならいいのよ。

見つけたのは

心の声を聞いたの、自転車で街を周りながら

そしたら俺は誰にも見つめられず死にたいとか言ってたから絶対そうだと思って」


俺はテーブルに頬杖をついて想像した。

この能力が喉から手が出るほど欲しい人間は山ほどいるだろうな。もし露見すればゆみなの身が危険に晒される。


「大体察しはついてたが使い方によっては恐ろしい能力だなそれ、誰かに話したかその能力の事を」


ゆみなは俺の目の前行ったり来たりするのをやめ椅子に座った。


「心の声が聞こえるようになって見てもらった病院の先生とかなたしか知らないはずよ。それより私達は一緒に暮らすのだから

私の過去を知っておいた方がいいでしょ、かなたは罪しか見れないんでしょだから私が人を殺してしまった理由を話すわ、かなたには知っておいてもらいたいしね」


俺は両手を膝に置きゆみなの目を見た。


「わかったよ。俺はたとえどんな理由だったとしてもその話から目を背けないと誓うよ」




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