シリアスなんだなあ……
今の気持ちを取りまとめたいと思う。
実はこれを書くのはとても嫌な気持ちだ。
個人的な事情なうえ、一切関心を払われないであろう内容だ。
父が、老いていた。
考えれば当たり前なのだが、70も過ぎてから農作業に力を入れ、土木作業や建築までやってしまう父のことだ。
ムリがあったのである。
わたくしたちは、父が所有する田んぼを、人に貸していることから、年に10回、お礼として米を60㌔ずつ無料で受け取っている関係で、田舎へ行くのだが。
母が父の身の回りの世話をしている横で、わたくしはぼーっと眺めていたんである。
父が、膝を痛めてサプリメントに手を出しているらしい。
健康食品などには抵抗をしめしていた父が。
それを母が知って、試供品など安く手に入れて渡しているのを見た。
父は、着替えの時ズボンに足を抜き差しするさい、片足を持ち上げるたびにこう、くっと動作が止まる。
痛みに耐えているのだろう。
息を止めているのかもしれない。
手術してボルトを入れてもらったらどうか、とも思いはするが、一方で外科的手術は「歩行困難」の場合にしか許可が下りないと、むかーしTVで観た。
かといって、痛みは常時あるわけで。
ああいう痛みは終わりがないから、耐えるだけつらい。
気の毒だ。
もう、あの足でわたくしを蹴ったりはできまいし、口で悪態をつくのが精いっぱいだろう。
父が無茶をやるのは、金がないから全部自分でやるしかないからで、母はそれを知っていて金を貸さない。
お金を貸すと、父はすぐに夢をみて、田畑を拡張するだの、マンションを買うだのしてすっからかんになって「今、金ないから返せない」と言い出すので、母は用心しているのだ。
お金で父が楽になるなら、貸したらいいと思うのだが。
父は朝夕の涼しい時間帯に農作業をやっちゃって、日中の暑い時間帯には部屋で寝ている。
サラリーマン時代を経て、そういった生活を手にしているのだから、誰にも文句は言わせないと、そういうわけだ。
自由に遊べるのはいいのだが、体がそれについていってない。
老いとは、知恵を持つこと。
そして、死に近づくこと。
覚悟して生きること。
……重たい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます