おたんじょうびおめでとう!

 *あるあるな話をします。


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 はる。

 まもるくんは、さくらもちみたいな、ふわふわのやえざくらが、まんかいになるころ、たんじょうびをむかえます。

 もうすぐよっつです。


 いっしょにすんでいる、びっぐばあばとおやつをたべているとき、びっぐばあばは、まあるいおせんべいを、ぱりん! とわってくれます。

 やさしいおばあちゃんです。


 でもまもるくんは、このごろ、わったおせんべいをもらうのが、すきではありません。

 まあるい、まんげつみたいな、おおきなおせんべいに、かぷっとかみついて、ぱりんぱりんとぜんぶたべたい。

 さんさいのまもるくんには、おおきなおせんべいは、あこがれのまと。

 わったおせんべいでない、まるくてかたいおせんべいを、ほしがります。

「びっぐばあば、そっちのまるいのがいい。そっちをちょうだい」

 けれど、びっぐばあばはいいます。

「どれどれ、まもるのちっちゃいおくちには、おおきすぎる」

 まもるくんは、かんかんです。

「おおきいのがたべたいんだ!」

「さあねえ。どうしたもんか」

「たべたい、たべたい!」

 こまったびっぐばあばは、おせんべいをぱりぱり、たべてしまいました。

「もうないよ」

 と、びっぐばあばがいうと、まもるくんは、おかあさんのところへいって、なきました。

「びっぐばあばが、おせんべ、まるいの、くれないー」

 こまったおかあさんは、まもるくんをつれて、しょうてんがいへいきました。


「まもるくん、おたんじょうびのおいわいに、ケーキをかってあげる」

 ところが、まもるくんのめは、おせんべいやさんの、おおきなまるいおぼんのような、おせんべいにくぎづけです。

「あれがほしい。あれがたべたいよう」

「え? おせんべいがいいの?」

「いちばん、おおきいのがいい」

 しかたなく、おかあさんは、まもるくんにおおきなおせんべいを、かってあげました。

「わあい! うれしいな。いただきまーす」

 おうちにかえると、まもるくんは、おおきなおせんべいに、ぱくっとかじりつきました。

「ごちそうさま」

 きがすんだまもるくんは、おへやへかえっていきました。

 あれれ……テーブルの上には、ちっちゃく、ひとくちだけかじったあとのある、まあるいおおきなおせんべいが、そのままのこっていますよ。

「あれあれ」

 おかあさんもびっぐばあばも、それいじょう、ことばもありません。

 でもね、そのおおきなおせんべいには、ピンクのおさとうで、こうかいてありました。

「おたんじょうび、おめでとう!」

 おみせのひとが、かいてくれたのです。

 まもるくん、よんさいおめでとう。


 おわり

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 絵本にしたら、楽しそう。

 一人で勝手にそうぞうしました。


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