このエピソードを読む
2019年4月15日 01:31
『お前は最も大切なものを捧げる意思があるか?』と『蝕』に際して尋ねられた時、グリフィスの心になにかが残っていたのかどうかはとても興味深いです。
作者からの返信
マスケッターさま、コメントをありがとう存じます。グリフィスは心身ズタズタにされて、ぼろっぼろになってしまったけど……閉じ込められた牢獄にガッツがたすけにきたでしょう?彼は思ったんだと思うんです。自分にはまだ、大切なものがある。破れた夢よりも、大切だったものが還ってきた。そのとき湧き上がった恐怖。牢獄で死んでいくはずだった命、生かされようとしている命。戦場で何度も賭した命。それが、無価値な終わり方をするであろうことがわかった。そんなみすぼらしい幸福に、自分は耐えられない。「救われたから、しかたなく生きて、そのまま黙って生を終えるなんて」耐えられなかったんだと思います。ガッツの友情を得て、命の終焉を感じとり、苦しさに喘いだんだと思います。グリフィスという男のきょう気は、その苦しみを終わらせるべく働いた。夢への渇望。己はひとかどの何者かになるのだという願い。このまま老いて死ぬのは嫌だ。よみがえれるのなら、人以上になれるのなら、そんな幸福――ガッツを捨てて構わない!グリフィスは、超人になることへの渇望と、友とあることの幸福とを引きかえにしたんだと思います。そのまま永らえても、もうガッツと共に同じものを見ることは叶わないのですから。そのまま生き続けて、これから何度後悔するかしれない。これからなんど、気がおかしくなるかしれない。だったら、そんな苦しみのもととなるガッツを鷹の騎士団を捧げる。一度は自分のもとを去った、いつまた失うかわからない。そんな苦しみの種を生まれ変わるために差し出すなら、もう構わない。そしてグリフィスは、友にとってなんの価値も持たない自分には、鷹の騎士団にしてやれることのない自分には、望みがない。それなのにただ生き続けるのは耐えがたい。苦しい想いと懊悩だけが残る未来と、人以上になって世界を見下ろす自分とどちらがいいのだと問われれば、再び夢をみたいと思うのが人情でしょう。とりとめなくなりましたが、ここの葛藤がなければ、グリフィスのキャラって薄かったと思うし、いくらカッコよくても共感できない人間味のない人だったと思います。グリフィスがいかにガッツを好きだったかがわかるエピソードでした。お読みくださってありがとうございます。
『お前は最も大切なものを捧げる意思があるか?』と『蝕』に際して尋ねられた時、グリフィスの心になにかが残っていたのかどうかはとても興味深いです。
作者からの返信
マスケッターさま、コメントをありがとう存じます。
グリフィスは心身ズタズタにされて、ぼろっぼろになってしまったけど……閉じ込められた牢獄にガッツがたすけにきたでしょう?
彼は思ったんだと思うんです。自分にはまだ、大切なものがある。破れた夢よりも、大切だったものが還ってきた。そのとき湧き上がった恐怖。
牢獄で死んでいくはずだった命、生かされようとしている命。戦場で何度も賭した命。それが、無価値な終わり方をするであろうことがわかった。
そんなみすぼらしい幸福に、自分は耐えられない。
「救われたから、しかたなく生きて、そのまま黙って生を終えるなんて」耐えられなかったんだと思います。
ガッツの友情を得て、命の終焉を感じとり、苦しさに喘いだんだと思います。
グリフィスという男のきょう気は、その苦しみを終わらせるべく働いた。
夢への渇望。己はひとかどの何者かになるのだという願い。このまま老いて死ぬのは嫌だ。よみがえれるのなら、人以上になれるのなら、そんな幸福――ガッツを捨てて構わない!
グリフィスは、超人になることへの渇望と、友とあることの幸福とを引きかえにしたんだと思います。そのまま永らえても、もうガッツと共に同じものを見ることは叶わないのですから。
そのまま生き続けて、これから何度後悔するかしれない。これからなんど、気がおかしくなるかしれない。だったら、そんな苦しみのもととなるガッツを鷹の騎士団を捧げる。一度は自分のもとを去った、いつまた失うかわからない。そんな苦しみの種を生まれ変わるために差し出すなら、もう構わない。
そしてグリフィスは、友にとってなんの価値も持たない自分には、鷹の騎士団にしてやれることのない自分には、望みがない。それなのにただ生き続けるのは耐えがたい。
苦しい想いと懊悩だけが残る未来と、人以上になって世界を見下ろす自分とどちらがいいのだと問われれば、再び夢をみたいと思うのが人情でしょう。
とりとめなくなりましたが、ここの葛藤がなければ、グリフィスのキャラって薄かったと思うし、いくらカッコよくても共感できない人間味のない人だったと思います。
グリフィスがいかにガッツを好きだったかがわかるエピソードでした。
お読みくださってありがとうございます。