第3話 兄弟喧嘩
今日もいつもと変わらない朝だ。
食卓には僕の作った朝食、黙々と食べている碧と双子の赤璃と桃李。
何か少し違うといえば、あの二人だ。
「翠と柚黄はまだ寝てるのか」
ため息が零れそうになる。翠はまだしも、柚黄までまだ寝ているとは...。
「俺が起こしに行こうか?」
「ありがとう。でもいいよ、僕が行く」
二階へ行くと声が聞こえてきた。
なんだ、起きてるじゃん。
そう思っていたけど、その声は少し荒々しく感じて、急いで声のする翠の部屋に行った。
「何言い争ってるんだ、二人とも」
二人は掴み合いの喧嘩をしていて、すぐに間に入り二人を引き離した。
翠は普段から少し口が悪いけど、柚黄はそんなことで喧嘩をしたりはしない。
「うるさい、真白には関係ないだろ!」
「おい、みど兄!だい兄にそんな言い方はないだろ」
「は?大体お前が...!」
また喧嘩を始めようとする二人。僕は堪忍袋の緒が切れてしまった。
「いい加減黙りなさい!とにかく今はご飯を食べに来なさい」
やっと静かになった翠と柚黄。
やっと落ち着いてご飯を食べることが出来る。
碧の隣には翠。翠の向かいに僕がいて、柚黄は僕の隣にいる。
赤璃と桃李には少し早いけど学校へ行かせた。
「翠、柚黄。なんで喧嘩してた。柚黄から言い分を聞こうか」
碧が僕の代わりに口を開いてそう言った。
「俺、いつも通りみどを起こしに行っただけだよ!そしたらみどが...」
「俺のせいか!?大体いつもいつも真面目に起こしに来るゆずが悪いんだろ!俺は授業なんて受けなくても、あっ...」
柚黄が話すのを遮るように翠は声を荒らげて反論していた。でも翠の手が、朝食の味噌汁を飲む碧の手に当たり、碧の制服には見事に上下共に味噌汁だらけになっていた。
「碧!大丈夫か?」
火傷がないかと心配になった僕は急いでタオルを取りに行った。
「あ、兄貴っ...」
「おい...どうしてくれるんだ。これじゃあ学校に行けない」
タオルを取って碧の元に行くと何故か柚黄はオロオロしてて、碧はすごく冷たい空気を放って俯いていた。
「兄貴、ごめん...」
「ごめんで済むか?上は替えがあるが、ズボンはこれしかないんだぞ!」
いつもクールで落ち着いてる碧が荒々しく声を上げるから僕は驚いてしまった。
でも驚いている場合じゃない。碧は今にも翠に殴り掛かりそうになっていた。何とか碧を止めて服を着替えてこさせた。
僕の前に3人を正座させて、絶対に手は挙げるな、と約束をさせ、まずは翠に碧の服を汚して学校に行けなくさせたことに謝らせた。
それから翠と柚黄の喧嘩の理由を聞いてみれば、とても下らない事だと判明。
柚黄が起こしても起きない翠の手を引っ張ってベッドから引きずり出し、ベッドから落ちた翠が激怒した。
「起きない翠も悪いし、起こし方が雑な柚黄も悪い」
と、碧が冷静に答えた。
2人にバツとして、僕が仕事中の家事を任せることにした。2人で協力してできるまでバツを与えるとも言った。
監視役は碧に任せることにした。
その日の夕方、僕は仕事部屋に篭って仕事をしていたらリビングから双子たちの声が聞こえたので出迎えてやる事にした。
「赤璃、桃李、おかえり」
リビングで赤璃と桃李は翠と柚黄の手によって着替えをさせられていた。2人は順調に協力できてるみたいだ。
「真白ちゃん!買い物は?」
「そうだな、今日は翠と柚黄と一緒に行ってもらおうか」
「げっ、マジかよ」
翠は罰が悪そうに顔を
勿論そんな顔をしたって行ってもらうんだけどね。
「これ、買い物リスト。赤璃たちに後で報告してもらうから、喧嘩はするんじゃないぞ」
リストの紙を渡して4人は家を出た。
「碧、今日は監視役頼んで悪かった」
「兄さんのためなら全然大丈夫。いつでも言って」
そう言って碧は部屋に戻った。きっと勉強でもするんだろう。
暫くして4人は帰ってきた。双子たちに話を聞くと2人で協力して買い物をしてきたみたいだ。
今も普通に会話をしていて、いつも通りだ。
僕はそれを見て今回は許してやることにした。
その夜、双子たちが寝たのを確認して二階の自室へ戻り、寝ようとベッドに入ると翠と柚黄の部屋がある方からまた喧嘩をする声が聞こえた。
僕の口からは溢れんばかりの溜息。
喧嘩するほど仲がいい2人なのだろう。
「やれやれだ、まったく...」
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