第6話 現実世界とゲーム

皆が同じタイミングで目を覚まし、順番に帰っていこうとする。


なぜそんなに平然としていられるのかが、俺は不思議で仕方なかった。


少なくとも、俺はすごい体験をしたと思っている、体にしっかりと感覚が残っているんだ。木のベットの感覚、それだけではない数えきれないくらいの感覚だ。


そんなことを考えて、RASゲーム株式会社を後にしようとした、するとそこの社員だろう、謝礼と書いた封筒を渡していた。


まぁもちろん俺ももらったわけだが、中々の量のお金が入っていて驚いた。



帰宅後も...


あの感覚を忘れられない自分がいた。


家にはもちろんあの機械が置かれている、もしかしてほかの参加者もこの感覚に駆られて、今頃自分の機械でログインしているのでは...もしかしたらこれがあの会社の目的だったりしたら、ゲーム廃人が大量に出来上がってしまう。


『んなわけないか...考えすぎだな。』


そう自分に言い聞かせて、布団の中に入った。


ってそんなに簡単に頭から離れるわけもなく...


まぁ気づいたら、朝になっていたのだけれど(笑)


さすがに俺も立派な社会人なもんで、ずっとゲームだ恋愛だって言ってられないのだ。今日ももちろん出勤だ、今日からうちの部署に新人が来るらしく、誰が教育係になるのかって話で持ち切りだ。


うちの会社は大手のイベント企画会社だ。某有名アイドルの六大ドームツアーのセットだったり、演出も手掛けている。


まぁそんな会社の花形と呼ばれる、営業一課で働いている。


とはいっても俺なんかまだまだの立場で...俺の愚痴はこんなもんにしといて、とりあえずそこそこのところで働いている。


いざ会社に着き、自分のデスクに行くと、昨日の出来事なんてまるで嘘みたいだ。


「飛馬君、ちょっといいかな?」


「はい、なんでしょう?」


早速課長のお呼びだ...


「実は...今回の新人の教育係をキミにやってもらうことになった。」


「え、僕ですか?」


「あぁ、しかもその新人っていうのが、部長の姪っ子さんなんだよ。」


「はぁ...なるほど。」


「で、部長から直々に飛馬君にお願いしたいということだ。」


「それは、断れないじゃないですか。」


「そういうことだな、まぁがんばれよ。」


「できる限りは、頑張りますよ。」


想定外だ、これであのゲームをする時間がさらに無くなってしまった。しかも部長の姪とか...


一気に現実に戻されてしまった奏斗、果たしてゲームと仕事の両立することが出来るのか......

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る