第3話 新作発表
「皆様、改めて本日は会場にお越しいただきありがとうございます。本日司会進行を務めさせていただくのは中野です、よろしくお願いいたします。では早速ですが本題のほうへと移らせていただきます。今日この場にお集まりいただいたのは、500名の選ばれし方々です。皆様方にはゲームと現実の世界がリンクするという試みをいち早く体験してもらう方々です。そのゲームの名はHunting Romance Saga!」
ザワザワザワ
『名前だけはかっこいい』
「皆様がザワつくのもわかります、なので今から詳しく説明を致しましょう。まずゲームの内容なのですが、RPG型恋愛シミュレーションゲームとなっております。しかし、せっかく最新の技術を搭載しているのにもかかわらず、ただの恋愛シミュレーションゲームをしてもらうのは何か面白みが足りません。そこでです!皆様が実際にRPGゲームの世界へ入っていただき、その世界で冒険と恋愛をしてもらうのです。」
まだ会場にいる人たちは、何をするのかがわかっていないようだ。まぁ俺もそのうちの一人なのだけど。
「そこでです、ただのRPGゲームならストーリーを終わらせたり、ラスボスを倒すとクリアになりますよね?しかし、このゲームはカップルを成立させたうえで、クリアをしてもらわないと本当のクリアとはなりません。」
ザワザワザワ
「ちなみにバーチャルの世界に自分の体を転送するという形での恋愛になりますので、顔も性格も話し方もそのままというわけです。アバターのようなものは一切作ることが出来ませんので......もしあなたが、ゲームの中で好きになったということは......リアル、つまり現実でも好きになってしまうということです。」
周りは納得したといった内容の声をあげている。
「少しはお分かりいただけたでしょうか、ゲームをやっていくうちにおいおいわかっていくとは思いますが、それではこのゲームを行うにあたっての諸注意をさせていただきます。今日知ったこのことをこの500名以外に対して口外することは許されません。もし守れなかった場合はそれ相応のペナルティーが科せられます。このゲームをするにあたって、国の許可もいただいておりますのでご安心を。最近の若者の結婚意欲の低下を解決する目的でもありますからね。あ、もちろんここにいる方々は付き合っている人はいらっしゃらないので、その点もご安心ください。」
その言い方は何かつらい部分がある。
「あ、もちろんこのゲームにて成立したカップルが結婚するなどはどうぞご自由に!ゲーム中の浮気などもこちら側からの罰則なども一切ございません。そこは本能のまま動くのか、理性を保つのかですね(笑)ゲーム中にカップルが変わるなどというのも全然構いませんので、しかし、もちろんカップルは一対一ですがね。」
「最後になりますが、このゲームは強制参加となります。皆様方は、今私たちRASゲーム株式会社に借金をしていると考えてください。あの機械などはすべて皆様方の実費となっており、今は会社が立て替えている状況です。しかしゲームをクリアさえしていただけましたら、借金はチャラとなりますし、謝礼も弾みます。仕事はどうするんだ?という声もあるでしょう、さすがに私たちも毎日ゲームをしろとは言いません。しかし、一ヶ月以上ログインがなかった場合は、その時点で多額の借金を一括請求させていただきます。では、皆さんのご健闘をお祈りさせていただきます。」
「これよりゲームの体験をしてもらうので、10階へ移動をお願いします。」
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