第5話
ビッグママの集落を離れて、数週間が経過した。
想像通り、集落を出てから三日間はほぼ何も食べずに生活をした。どこもかしこも調べつくされていたからだ。
食べない間は、集落の悲惨さもあってお互いに口数が少なかったが、今は予備の食料も調達でき、元通りになっていた。
だが、集落を出てから変わった部分が一つだけある。
それは、夜の事だ。
寝る時間になると、二人はどちらともなく反対を向いて眠るようになった。
「レイ、起きてる?」
「ああ、起きてる。どうかしたか?」
「ん、いや……何でもない」
「そうか」
いつも、それ以上の会話はない。
この時間になると、何故かそわそわしてしまう。
それというのも、集落での一件が尾を引いてしまっているからだ。
レイはマリアを抱いた。それはマリアが望んだことであり、レイを慰めるための行為だった。だから、抱いてはいけなかったとか、そういう話ではない。
ただ単純に、どうしていいのか分からなくなっていた。
人を愛したことなどなかった。愛した人を抱いたことなど、尚更なかった。
そもそもこれは愛なのか? 愛ではないなら何なのだ?
人を犯すという理由以外で抱く意味なんて、愛以外の何だというのか。
また、二人で愛し合うことがあるのか。マリアはそれを望んでいるのか。
レイには全く分からない。
だから自分からは何も言わない。何も言えない。あれはマリアの優しさであって、マリアの本心ではないかもしれない。そう考えると、自分からあの話を気軽にすることなんて出来ない。
だが、気になる。
マリアは自分の事をどう思っているのか。あの時は、マリアは自分を好きだとはっきり言った。
慰めるためにそこまで言うのか? いや、そもそも慰めるために抱くという時点でもう気にすることは何もないのではないのか。
いやいや、だからそれはマリアの優しさであって……。
「……マ、マリア」
「うん? 何?」
「最近この時間、あまり眠れていないようだが、どうかしたのか?」
「ううん、どうもしないよ。レイこそ、私が声かけたらいつも起きてるよね」
マリアは冷静な様子だ。気にしている様には思えない。意識をしているのは自分だけなのだろうかと、不安になってしまう。
「俺は、前から眠りが浅い。物音がしたら起きるように出来ている」
これは嘘ではない。ずっと一人で生き、警戒を絶やすことのない生活を送ってきたレイは、少しの物音でも起きてしまう。マリアと集落で数日を過ごしていた時は、マリアのおかげで眠ることが出来ていたが、集落を出たらまた元に戻ってしまった。
「そうなんだ」
「ああ」
「……」
再び沈黙が訪れる。
直接聞くことが出来るのならどれだけ楽な事だろう。人と関わるという事がこれほどまでに難しいとは考えてもいなかった。
一人が楽で安全だった。
だが、二人だったら?
楽しくて、安心だ。
今のこの状況も、悪くないと思う自分がいる。困惑する自分を受け入れている自分がいる。昔では考えられない自分がここにはいる。
「レイ、前よりたくさん喋るようになったよね」
「そうかもしれないな」
無駄な会話はしないようにしていたのが懐かしく感じる。数えてみれば、ほんの少しの期間だというのに。
「マリアのおかげだ、ありがとう」
「ん、どういたしまして」
照れたようにマリアは言った。
再び沈黙が訪れたが、不思議と嫌とは思わなかった。心地よい静寂だ。マリアの息遣い以外、何も聞こえてこない。
こんな平和な時間がずっと続いたらいいと、レイは素直にそう思った。
*
「ここ、最近誰か通ったのかな?」
マリアがそう言ったのには理由があった。
マリアがしゃがんで調べていたのは、木の燃えカスだった。勝手に燃えたなんてことはなく、ちゃんと積み上げられた形で残っている。
「何日か前までいたのかもしれないな」
形はしっかりと残った状態だ。もしかすると、このまま進んでいたら、この焚火を使った誰かと遭遇するかもしれない。
「そんなに寒くもないのに、なんで火なんて熾したのかな?」
「何か食材を手に入れたのかもしれないが……」
その食材が何なのかによっては、非常に危険な相手かもしれない。
「ここからは慎重に行くぞ。人がいたような痕跡があったら、すぐ教えてくれ」
マリアは無言で頷いた。
二人はその周辺を探索し、一つの家屋に争ったような形跡があるのを発見した。割れたビンに付着した血液、一つだけ離れたところに倒れていた椅子。壁についた血液。血は乾いてはいたが、古いもののようには見えなかった。
何より、そこには異臭が漂っていた。
「無法者が争ったのかな?」
「そうかもしれないな」
マリアがやられたように、旅人が無法者に襲われることはよくあることだ。無法者同士が争うこともある。
ただ気になるのは、やはり焚火。焼いて食べるようなものと言ったら、そこら辺を飛んでいる野鳥くらいしかいないように思う。無法者がまともに料理を出来るとは思えない。
そしてもう一つ気になるのは、死体がないということ。あの部屋の様子だったら、どちらかは死んでいてもおかしくないように見えた。なのに死体がない。無法者なら、相手の所持品を奪って放置するだけだ。
そうなると、出てくる可能性。最悪の可能性。
「マリア、こいつはたぶん、人食いの仕業だ」
*
人食い。文字通り、人を食う人間の事を指している。
人食いは大きく二種類に分けられる。人を襲って食う者と、死体を食う者だ。
後者はまだマシと言える。そこらへんに放置されている死体を食うだけだから、ある意味腐臭もしなくなるので助かる場面もあると言える。
もちろん、見ていて気持ちのいいものではないが。
問題は前者だ。
人を襲い、その人間の肉を食う者。中には、襲いながら食い殺す者もいる。レイは一度だけその光景を見たことがあるが、とても同じ人間がすることとは思えなかった。
人間をやめている。まるで化け物だ。
そうでないとしても、人を襲い食う者にまともな者はいない。
人を騙して食うような賢い人食いもいる。そういうやつは、人間の食い方にこだわっていることが多い。今回の人食いは、焚火があったことを考えると、人肉を焼いて調理していると考えられる。
ただがむしゃらに襲い掛かってくるやつよりも厄介かもしれない。
人食いではない可能性がないわけではない。だが、色々な条件がそろいすぎている。
だからと言って、引き返すわけにもいかない。引き返したところで、そこに食料はない。生きるためには進むしかない。
この人食いとは別の方に進めることを祈るばかりだ。
*
「人を食べてまで生きたい理由って何だろう」
マリアはふと、そんな疑問を口にした。独り言のようにも聞こえたし、レイに質問を投げかけているようにも取れた。
「人食いの考えることは分からん。だが、生きようとしているって点だけ言えば、分からんでもない」
レイも元々は、生きることに意味を持たせることはなかった。ただ本能に従い、死なないように生きてきただけだった。
だから、分かる部分もある。何をどうするわけでもなく、ただ生きるために生きる。目的が生きること。死ななければそれだけで十分だった。
だが、生きた人間を殺してまで食べるのは、生きるための行為ではない。
そこまでくると、それは娯楽とも言える。新鮮な肉が食べたい。非常食ばかりの生活に嫌気がさし、食に楽しみを求めた結果だ。
「私も分からないや。人の肉なんて、食べたいと思わないよ」
「一度食えばやめられなくなるのかもしれないな。肉なんて、滅多に食えないからな」
「どんな味がするんだろうね」
「焼いているのを見たことがあるが、臭いは酷かったぞ」
あんなものをよく食えるなという印象を持ったのを今でも覚えている。一度嗅いだらあの臭いは忘れない。
「だがまあ、ママシティの連中に比べたら、人食いの方がマシかもしれないな」
あいつらは、人を飼っている。自分の欲求を満たすためだけに、人間の尊厳を奪い飼い殺している。あんなことをされるくらいなら、殺されたほうがマシというものだ。
「ケイは、どうしてるだろう」
「気になるか?」
「ちょっとね。ああいう場所だったとしても、ほんの少しの間は友達だったから」
マリアとケイは、本の話しで盛り上がっていることが多かった。たとえあれがビッグママの策略だったとしても、本が好きという点に嘘はなく、二人が仲良く話していた事だって、きっとすべてが嘘ではなかったはずだ。
「いつか、会えると良いな」
と、そんなあり得ないことをレイは言った。
ケイに会うには、戻るしかない。しかし、戻るつもりなどまったくない。それはマリアだって同じだ。目的は、マリアの話に出てきた平和な世界に行くことだ。
だから、会う事なんてない。もしもケイがあの集落を出たとしても、レイとマリアに追いつくことは、きっとないだろう。
だから、会えると良いな、なんて言葉はただの気休めだ。
「会えると良いなあ」
マリアも分かっているだろうが、それでも自分の願いを吐露した。
「マリアは、ケイみたいな子と一緒に旅がしたいか?」
レイの問いに、マリアは、「んー」と数秒間目を閉じて考えた。そして、
「旅は、二人でいいかな」
と言った。
「三人だったら、飢え死にする可能性高くなっちゃうでしょう?」
とても現実的な意見だった。まるで自分のようだなと、レイは苦笑した。
*
この世界に生きる人間で、人が死ぬところを見たことがない者など存在しない。誰もが誰かの死ぬところを見る。
誰もが誰かを殺すところを見る。
または、自分が殺される。
または、自分が殺す。
そういう世界だ。
レイは、自分の邪魔になる者を殺すことにためらいはない。殺さなければ自分が死ぬと判断したら、迷いなく殺す。
では今回はどうだろう。
絶対に遭遇したくはないと考えていた人食い。進む先に必ずある痕跡。まるでこちらが追いかけているかのようだった。
そして見つけてしまった新鮮な血液。まだ固まってすらいなかった。
こいつはまた、人を殺したらしい。
会った人間は全て殺して食ってしまう。会ったこともないのに、そういう人間だとはっきり分かる。
こいつはきっと、なりふり構わず襲ってくる。抵抗しても相手を殺せる自信がある人間だ。そうでなければ争いの痕跡など残らない。寝こみを襲えばいいだけだ。
殺すことを楽しんでいる。そんな風にさえ思える。
殺さなければ殺される。
だったら答えは一つ。
殺せばいい。
*
今まではなるべく避けようとしていた人食い。しかし、今度は違う。こちらから探し出して殺す。
「わざわざこっちから行かなくてもいいんじゃない?」
マリアは反対のようだったが、今回ばかりはマリアの意見は聞いていられない。狂った人食いがどれほど恐ろしいのかマリアは分かっていない。
すぐ近くにいると考えると、最悪の場合、既にどこかから見られている可能性だってある。賢い人間なら、相手が隙を見せるまで隠れているだろう。
だが、残っている血痕から見るに、既にここにはいないことだけは分かる。血痕は外に続き、等間隔で東の方へ向かっている。だから恐らく、監視されているということはないだろう。
食っている時か寝ている時、ねらい目はこの二つだ。
二人は慎重に、かつ急ぎめにその血痕を辿った。
そして、人食いは予想以上に早く見つかった。
考えてみれば当然だった。人間一人を担いで移動できる距離なんて限られている。十分もしないうちに人食いは見つかった。
そいつは外にいた。河川敷の橋の下。ビッグママとは違った種類の巨人。全身が筋肉で出来ているのではないかと思うほどの巨漢が、鼻歌を響かせ、機嫌よさそうにしている。
機嫌よさそうに、人間を解体していた。
臓器をすべて取り出し、目玉をスプーンでくりぬき、そのまま口に含む。余程旨いのか、至福の表情で解体を続ける。
「うっ……」
その光景を遠目に見ていたマリアが、口を押えて嗚咽を漏らした。
「大声は出すなよ……」
人が死ぬ様は嫌というほど見てきたし、死体も腐るほど見てきた。
だが、そんなレイでも、この光景は目を逸らしたくなるものだった。
異常という言葉がこれほどふさわしい光景はない。人間が人間を楽し気に解体している姿なんて、見たくても見れるものではない。
「どうするの?」
「今は待機だ。凶器もあるからな……食べてる時を狙う」
つまるところ、食べているところ、それどころか、調理するところまで完全に監視していなければならない。
「マリア、後ろを見ててくれ。仲間がいる可能性も考えられる。俺はあいつを見ておく」
マリアは無言でコクリとうなずいた。
しかし、こうして遠くから見ていても分かるほどの巨漢だ。不意をついたところで殺せるのか? 怪物と言って差し支えないほどだ。
怪物って何? あれの事だ。そんな受け答えが出来るレベルで人間離れしている。
解体も、包丁そのものの切れ味というより、力業で切っているように見える。
持っている包丁は決して小さくはないはずなのに、あいつが持つと玩具のように見えてしまう。
あれを殺せるのか?
そもそも、死ぬのか? ナイフを刺したくらいで死ぬようには見えない。筋肉の壁で血管も臓器も守られていそうだ。
まあ、そんなわけはないのだが。
人食いは解体を進め、肉と骨、臓器を分け終えた。終えたころには人食いの体は血まみれになっていた。ますます怪物じみて見える。こんなやつなら、「人を食ってます」と言われたところですぐに納得してしまう。
そして血まみれのまま、それぞれを調理していく。臓器は煮込み、肉はフライパンで焼いている。決して良い匂いとは言えない香りが二人がいるところまで漂ってくる。
何度も同じことを繰り返してきたのだろう。手際が良すぎる。どこで調達したのか、調味料が何種類もある。
調理は、二十分もかからず終わった。
血まみれのまま食事をする姿は、やはり怪物にしか見えなかった。
「仲間はいないみたいだな」
食事に夢中で周りの警戒はしていない。チャンスは今しかない。
「マリアはここにいろ。失敗したらすぐに、静かに逃げるんだ」
マリアの返答を待たず、レイはその場を移動した。
橋の上を渡り、人食いの背後へ。
人食いはがつがつと食べることに夢中のままだ。
自身のナイフを片手に持つ。短い、首を切る程度の事しかできない。だが、それで十分とも言える。
凶器が大きかろうが小さかろうが、あの怪物を殺すチャンスは一度しかないという点に変わりはない。失敗したら人生終了。
殺されないために殺す。
ついでに調味料もいただこう。
人食いの背後、三メートル付近まで来たところで、レイは足を止めた。
いや、足が止まったと言った方が正確だった。
突然レイに、死のイメージが湧いた。背後から襲ったレイが、逆に人食いに刺され食べられる。その光景が脳裏をよぎった。
冷汗が頬を伝う。
恐怖。
今までに感じたことがないくらいの威圧感をその背中から感じる。
何故? どうして動かない?
今までこんなことはなかったはずだ。体が全く言うことを聞かない。
動かないと、このままでは気付かれ、殺される。
死ぬのが怖い。
何故、死ぬのが怖い?
死にたくない理由が増えたからだ。
「あっ」
と、人食いの正面から微かに声が聞こえた。
誰の声か何て分かりきったことだった。マリアだ。
人食いは顔をあげ、マリアの方を見た。
そのマリアが見ているのは、レイだった。
それに気付き、レイは即座に前へ出た。
人食いが振り返ろうとしたときには、もう遅かった。
レイのナイフは人食いの首に突き刺さり、ナイフはそのまま首を掻っ切った。
鮮血が宙を舞う。
人食いは何か言葉を発そうとしているが、息が漏れるだけで言葉は出てこない。
自慢の肉体でレイをはがすが、、それももう意味はない。はがしたのと同時に地面に倒れこむ。
ギラギラとした目は、レイをまっすぐに見つめた。
そして、笑った。
笑ったまま、死んでいった。
*
人食いを殺し、二人は役立ちそうなものだけ奪い、すぐにその場から離れた。
仲間がいるかもしれない、などという心配をしているわけではない。あの場所から出来る限り早く立ち去りたかっただけだ。
気味が悪かった。
血まみれの巨漢が、笑った顔のまま死んでいた。
いったい何に対する笑いなのか。死んでしまった相手に答えは聞けない。状況から察する事さえ出来ない。
それに、あの場所の異様な臭いは、いるだけで気が狂いそうだった。
だから本当に、必要そうなものだけを選んだ。人食いの体を調べることもなく、そこに置いてあった調味料だけ持っていった。
そして結局、暗い気持ちを持ったまま夜を迎えた。
「マリア、なぜあの時あそこから動いたんだ? 最悪、死んでいた可能性だってあったんだぞ?」
比較的綺麗な民家にあった埃だらけの布団に横になり、レイは言った。その目は、すぐ隣にいるマリアに真っすぐ向けられている。
「レイが困っているように見えたから、私が助けてあげたの」
どんなもんだ、とでも言いたげな顔だ。
確かに、結果的に言えばマリアが出てきてくれなかったら、体が動かないまま人食いに殺されていたかもしれない。
「だからって、あんな無茶な真似するな」
「無茶しないと、レイが死んでたかもしれない」
「こんな風に無茶してたらいつか死んでしまう。だからやめろ」
レイはムキになってそう言った。言ったところで、自分がイライラしていることに気付いた。
「そんなこと言われても……私だって怖いのは嫌だけど、レイに死なれるのはもっと嫌」
「それは……」
それは、こっちも同じことだ。
マリアに死なれたくない。
マリアが死ぬなんて、マリアがいないなんてことを、もう想像できないししたくもない。
マリアと共に旅がしたい。マリアが目指す平和な世界へ、二人で行きたい。
きっと、だからあの時体が動かなかった。
今までは、目的が生きることだった。何かの目的があって生きるのではなく、生きなければならないから生きていた。生きるのが当然のことだから、生きていた。
それが、今は変わってしまった。
マリアと共に旅をしたい。
マリアと共に過ごしたい。
マリアと一緒にいるために、生きている。
「俺も、マリアに死んでほしくない。俺が死んでも、何があっても、マリアには生きていてほしい。それくらい、マリアは俺にとって大切なんだ」
自然と、マリアの手を握っていた。
マリアは顔を赤らめ、
「今日のレイ、素直だね……」
と、さっきまでの威勢はどこへやら、しおらしくなった。
「言わないでいるのが嫌だっただけだ」
「そうだとしても、私は嬉しい」
「そうか」
静かに、二人は見つめ合った。
恥ずかしい気持ちがないわけではない。いや、むしろ今まで生きてきた中で一番恥ずかしい瞬間かもしれない。
見つめ合ったまま、二人はしばらく無言になった。
底知れぬ気まずさを感じ、レイが口を開いた。
「マリアが読んでいる本では、こういう時、どうなるんだ?」
自分以外の答えがほしかった。自分が答えを持ち合わせていなかったから。マリアの愛読書から知識を得たかった。
「えっと……キス、とか?」
「キス……」
必然、マリアの唇が目に飛び込む。
昔の人間も、案外今と変わらず欲望に忠実だったのだな、などという感想が湧いた。
様式美、みたいなものだろうか。こういう時は、必ずキスをするというような。
ならば、それに自分も習おう。
レイはゆっくりとマリアのそばに寄った。
マリアは頬を赤らめたまま、瞼を閉じた。
マリアの手を握ったまま、レイはそっとマリアの唇に、自分の唇を重ねた。
十秒か、もっとか、二人は口を重ね、それから静かに離れると目を開いた。
マリアの瞳が潤んでいて、それがとても美しく見えた。
たまらずレイはもう一度キスをした。マリアもそれを受け入れ、遠慮気味に手をレイの背中に回した。
それから二人は、日中に起きた事を、忘れようとでもするかのように、愛し合った。
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