4話 決戦
4.決戦
決戦日はやはり満月の日が選ばれた。月の光によって手元が照らして闇夜の中でも行動しやすいだろうという理由だった。決戦前にはみんな団結して戦うから、洞窟の広間に集まるようになっていた。
そんな中、シーラ達は、みんなの表情が見える、ヂュランと同じ一番前にいた。ヂュランに「ここの方が次期女王としていい経験になるでしょ?」と言われたからだった。
たしかに、みんな見えるいい場所だけど、いいのかしら?ポットでの私達で.
「ヂュランが良いって言ったんだから、気軽に行こうぜ」
「そんな広い心持っていたら女王として悩んでないわよ」
二人で囁き合っていると、とうとう、ヂュランによる、この王座奪還による宣誓が行われた。
「まず、みんな、襲撃で追われた私についてきてくれてありがとう。ここまで、体制を整えることができたのは、間違いなくみんなのおかげだと思っている」
ヂュランの声は洞窟の中で良く響き渡り、みんなの心に届いていた。
「弟のライディンは、自分が神となる存在と言って、長年にわたりバベルの塔を建設中である。神に対峙するために民を強制労働とする行為は許せない」
ヂュランは月の光に防具の銀が照らされ、光り輝いていた。ヂュランは質素な暮らしを強いられて、頬がこけていたが光によって綺麗に見えた。
「この剣に誓って、我々は玉座を取り返し、偉大なるユシュフェル国再建へと突き進もう」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!
男、女、小さな子供たちでさえもみんなヂュランを見ていた。そのヂュランが自分たちの王、女王に見えたから。このとき、シーラはやっと悟った。
レイは、この瞬間を、この牽引力を私に持ってほしくてこの世界へと移動させたのだ。私がユーデン国で、未曽有の大災害に見舞われて、できない。と泣いていたから。
わたし一人じゃない。みんないるのに、わたしは自信を無くしていたけど、私は、私のやるべきことをやるんだ。そこが、私が後継者として、選定者としている存在なんだ。
シーラは、自分の創成期の場所を静かに、洞窟の中の熱気は最高潮だったが、シーラの、緑の眼に焼き付けてみていた。
そのあと、計画では、各部隊から洞窟から外へと出て、隊列を組みなおしてから目的地へ行く予定だった。シーラ達はヂュランと一緒の部隊について、洞窟から外へと出たのであった。
「シン、絶対に帰ろうね」
「ああ」肩に乗るリスのシンが言う。
よーし、頑張るわよ!!
シーラ達が決意を新たにしていると、号令が鳴った。
「よーし、みんな洞窟から出たな。準備はいいか。じゃあ、ミーちゃん呼ぶぜえ。お前たちー、しっかり円陣くんどけよーーー!!」
え、ミーちゃん!?シーラには以前聞いた名前に驚いた。
「みぃーーーちゃあああああんんんんん。カムバッツクク!!!!!」
だって、ミーちゃんって、たしか、巨大化になったっていう、、、、シーラ達第一部隊の後方から砂煙を巻きなが大きな何かが向かってきた。
ドドドドドドドドド。
大きな音を立てながら、姿を現したのは、、、ねこーーーーーーーーー!!!!??
「ニャアアアア―――――――――ンンンンン♡♡♡」
巨大な白とブルーが混じった猫が、すごい勢いでやってきている。あの勢いじゃ何人かは吹っ飛ばされるわ。
「みーーちゃん、とまれええええ」
男たち若い衆がミーちゃんの前に円陣で対抗して抑え込もうとするが、ミーちゃんは呼ばれた喜びなのか、「にゃーん」と言っては頭をグリグリとこすりつける様に猛突進だった。実際、二~三人は弾き飛ばされていた。悪意はないのであろう、ミーちゃんは笑顔で飼い主に会えた喜んでいるように見えた。
「おお、おうよしよし。いい子にしとったかミーちゃん」
「ニャー―ーン♡」ゴロゴロ甘えた音がする。
「しーら、ここの世界は大きくなった動物が多いが、あの猫は他の猫よりデカいな」
肩にいるシンが呟く。
「う、うん」
それぐらい今いるミーちゃんは大きかった。この世界で、巨大化した猫は見かけたが、この猫は大の大人以上の大きさだった。
「お前たちは初めて見るか、あの猫」
「若手衆の男が育ての子猫なんだけど、大きくなったわねー」
大きい鳥を連れてきたシュスイとヂュランだった。シュスイは巨大な鳥を使って狩りをする鳥使いでもあったの。
「あの猫、巨大化すぎませんか?」
「ああ、あのデカさだと、ジャイアント猫だとみんな思っているぞ」
ジャイアントねこ??なにそれ。種類のネーミングになんでもジャイアントと付ければいいと思ってない?
「迷いネコだからよくわかってないけど、あの猫、まだ若いから元気過ぎて洞窟の壁とか壊したり、大きい肉のために狩りに出たら獲物を捕まえてくれるのよね」
たしかに、ミーちゃんに王宮内を暴れてもらうには適材でしょうね。あの巨体で王宮の壁より頑丈な強硬で狭い洞窟の中暴れられたらひとたまりもなかったらしいから。
200~300人の大移動は、朝から出発して時間がかかったが、なんとか夜が沈む前の王宮、バビロンの塔近くまできた。
そして、王宮の人たちが夕食を食べた終わったであろう時刻を合図に、一斉に第一部隊が王宮、バベルの塔に煙玉を投げた。
バアアアア―――――――ンンンンンン。バチバチ。
煙玉の音が急に激しくなる中、「キャー―――」「うわー――。なんだこれは」
王宮の人たちであろう声がいたる場所から聞えるのだった。
そして、それを合図に第二、第三部隊、第四部隊もと次々と潜入する。
「いけーーーーーーー!!!!!」
「ミーちゃん、暴れて良いぜええ!!ぶち壊せーーーー!!」
「ニャア―――――ンン♡♡」
王宮内に次々とくる武装した男たち、城壁を突き破って暴れる巨大猫に、王宮内は一気にパニックになっていた。
そいて、退路を断つように兵たちが入り口を封鎖する。
「ここからは、みんな個人で出てくる敵はぶっつぶせ!!いいな!!」
「りょうかーーーい!!」
私たちはヂュランと一緒にライディンがいるであろうバベルの塔の潜入して塔の王家の間という場所へと昇って行った。
「な、敵襲だーーー!!」
「打ち取らえヂュラン一味だ、手柄をあげよ!!!!」
あちこちから兵の声がするが、
「うるせえ、引っ込んでろ!!」
「シーラ、お前たちは早く行け!」
みんなが塔にいた兵たちと戦っているおかげで、私たちは目的の場所めがけてに真っすぐ向かっていた。
長いことは走って登っていたけれど、これまでいくつも通ってきた門とは違う、赤い大きな門が出てきた。その門はこれまでの門とは違い、両端には大きい花々が花瓶に生けられ、門の上には伝説の生き物と言い伝えられている竜という物も施されていて、あきらかに華美な装飾だった。
王家として教育されてきた者なら、この装飾が意味することがわかっていた。
王の間である。
ヂュラン、シーラ、シュスラン、カスベルはその大きい門を勢いよく開けた。
「おりゃあああ!!出てこい、ニセ国王!!!」
「潔く降参しろ」
カスペル、シュスランが叫びながら門を開くと、そこには、広い中に赤いじゅうたんが敷けれ、天井には無数に釣り下がった照明が室内を明るく照らしており、臣下であろう数人が衛兵と共にいた。しかし、4人の眼には、それよりも、その部屋の奥の、真ん中に陣取って座っている人物しか眼にに映っていなかった。
やはり、ライディンはバベルの塔にいた。
「貴様!生きていたとわ!」
「久しぶりねライディン。」
「この騒動はお前らの仕業というわけか、、!!」
「我が玉座、返してもらうわよ!!!」
ヂュランはそう叫ぶと、握っていた短剣を握り思いっきり玉座めがけて投げた。
血を分けた弟君であるヂュランに向かって。
剣は玉座の上に刺さり鈍い音が響いた。
ヒイイイイ。
従者たちはその光景を見て逃げる様に散らばった。
「チィ」
ライディンは護衛の兵たちに「お前たちこの反逆者たちをひっとらえよ」そう言って王の間から出ようとしていた。
「待て!!逃がすか!」
「ここは俺たちが片づけるから、弟をぶん殴ってこい!!」
「言われなくてもやるわよ!!私は右の兵相手するからシーラは反対側おねがい!!」
「任せといて!!」
ここで逃げられたら、今までの努力が水の泡よ!何としても捕まえてヂュランが女王になってもらわなきゃ!!!
シーラもすぐに応戦して、ヂュランと共に護衛の兵を倒しながらライディンの後を追いかけた。
ライディンの後を追いかけるのは簡単だった。ライディンは王の間の裏側の奥にある室内にいたからである。ヂュランは盾を前に出して守りの姿勢を固めたまま部屋へ入った。
「もう王宮も我々の管理下よ。」
「う、うるさい!!お前さえいなければ何もかも計画がうまくいったんだ!!」
弓が室内で飾られていたのか、ライディンは弓をヂュランに向けていた。
キリキリと狙いを定めているようだったが、修練を重ねた者にはすぐにわかった。
弓を弾きなれていない。もし引けたとしても、距離でヂュランに届くことはできないだろう。
弓をひくことぐらい成長した男であれば簡単なことなはずである。しかし、この男にはできていない理由が、シーラはこの目の前の男を細かく見ることで気がついた。
足が変形しているのである。長く垂らした服の衣装に見えずらいが、足の皮膚はブクブクと醜く気泡のようになっている。さらに足先は内側へと曲がり、足の裏さえも大きく皮膚が突き出ており立てたとしてもあの足では水平に立つのは難しい。現にこの男は、身体が斜めになっているのである。
これでは戦闘ど頃の話でないだろう。
王家の血筋に、欠陥品が生れていることはシーラの時代では撤廃され、できる限り平和に生活できるよう配慮されてきた。
しかし、この時代ではまだ身体に支障が出た者は動ける関係なしに死を意味していた。厳しい世界では生き残れないからである。例外なく殺されてきたのだが、この男は王家の血筋のためここまで生き残ってこれたのだろう。
「やめなさいライディン。貴方がしていることはわが国を弱小へと疲弊させているだけよ!なぜそれがわからないの」
「うるさい!俺は神になるんだ。こっちへくるな!!」
「お前を守るものもいない、空の王家など廃れるわ」
そう言ったときライディンの放った矢が解き放たれたが、ヂュランはかわして一気にライディンへと距離に近づいた。
「お前とは異母姉弟なだけで国王がいたときは全然話なかったわね。」
ヂュランはライディンの喉に剣の先をグッと向けて聞いた。
もう勝負は目に見えていた。
「なぜこのようなことをした。お前がこの反逆をしなくても、お父様であられる国王はお前にそれなりの地位は与えたはずよ。」
「地位だと?俺に与えられるのは粗末な土地と地位だけだ。」
ライディンはおかしそうに冷たく笑った。
「お前は王に気に入られ、可愛がられた。しかし、俺は、生まれた時から異形の者として生を受け、虐げられてきた。お前にわかるはずもないだろう。何もしていない自分が蔑まれ、小さな部屋でひっそりと母と暮らす俺たちが」
「お前たちが寂しい生活をしていたのは知っている。それでバベルの塔を建てたというの」
「そうだ。こんな完全な形でない俺をこの地上に産ませた神が憎い。俺が神に対峙して神に勝つことだけを夢みてきた。あと少しだった。お前が来るまでは……」
「お前の個人の考えで、民衆を労強制労働させ、無作為にバベルの塔を建てるのは間違っているわ。」
「お前に何がわかるというのだ!!王からも気に入られ、民衆からも支持されたお前に……。わかるはずがないのだ、お前には」
ヂュランは静かに、弟のライディンを見つめていた。
「ああ、お前にはわかるはずがないのだ。その瞳で、この世界を統治するがいい。俺は闇の世界で統治しよう。今しがたある柱を崩させたから、お前には邪魔はさせない!私の計画は完璧なのだあああ」
ライディンはそう言ったかと思うと、懐に隠していたのか短剣を出して自分の胸へと勢いよく刺した。
ヂュランは驚いたが、剣はライデインの細い身体、心臓を貫いておりもう虫の息だった。
そのときだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
塔全体が揺れ始めた。
「キャ、な、なに、どうしたの?」
「ライディンはこの塔を自分と一緒に地面の底へと埋めるつもりだったのよ」
「それって、つまり、、」
「バベルの塔が崩れる!!!はやく、シーラ!!塔の頂上へ上って!!!帰れなくなるわよ!!!」
やっぱりー!!!!冗談じゃないわよーーーー!!!!
もうすでに泣きそうな状態だったけど、何とかライディンの遺体の先の階段へと全力で登っていく。けれど、その間にも塔の階段がピシッピシッと音を立てながら階段内部まで次々とヒビ割れが起こっていた。
「シーラ、はやく!!頂上についたら二人で水晶に念じるぞ!!」肩にいるシンが叫ぶ
「わかってるーーー!!」
シーラもレイのおかげで王女としては鍛えてきたが、古代の人の足の強さには舌を巻いていた。
なにせ恐ろしいほどの速さで階段を駆け上っているのだ。
今度からは剣技だけじゃなくて体力も鍛えとこう。そう誓うが、もうバベルの塔は全体にまで亀裂が入ってて来ている。
間に合ってーーーー!!!
少ない明かりの中を駆け上がり、シーラの目の前に強く照らす光が目の前に現れた。
やった!塔のてっぺん!!!
「シーラ、はやく!!」
渾身の力を振り絞って、シーラはその光へと飛び込んだ。
つ、着いたー!!
「シーラ、はやくその水晶をだして!天に掲げて!シュスイ!!」
ヂュランは先について、シーラが帰れるように鳥使いであり、選定者を見守っているシュスイを塔の頂上へと準備してくれていた。
「うん、遅くなってごめん」
シーラは袋に入れてた水晶を出して、レイが言った手順で言った。すると、シーラの足元から光が出てきた。
そのとき、「ヂュラン!!あなたはこっちに!!もう塔は崩れます!!早く!!」
大きな鳥の背中に乗ったシュスイだった。
「塔の中の兵はもうあらかた片づけた。あとはあなたたちだ!!」
「ヂュラン、ありがとう!!あなたたちが私に手伝ってくれたこと絶対に忘れないから!!」
光は、シーラの身体全体を覆い、地上から光と空からも光が射して塔の内部の窓、空洞、亀裂の内部から光が勢いよく流れ出てきた。光は地上、上空と、一体となった。
「シーラ、無事に、無事に帰ってね。私たちは国を再建するから」
ヂュランはシュスイが操る鳥に移り飛んだ。
「塔が、塔が崩れるぞーーーーー!!」
「シーラ達は無事にか!?」
若い男衆達は塔の頂上を見るが、まばゆい光でわからなかった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴピシッと音が大きく響き、塔から眩い光が辺り一面に光が走った。
シーラが光に消えると同時に、バベルの塔は大きな光と一緒に
ゴゴゴゴゴ――――――――――――ンンンンンン!!!!!!!!!!!
大きい地響きを揚げながら、空高くそびえていた塔は瓦礫が粉々になりながら地上へ崩れたのだった。
上空から巨大な鳥の背に乗っていたヂュランはシュスイに質問していた。
「ねえ、シュスイ、シーラ達は無事に帰ることができたかしら?」
シュスイは困った。選定者を守るものとはいえ、未来を見通す力までは持っていなかったのである。
「どうでしょうか。それこそ、”神のみぞ知る”でしょうな」
そう答えたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます