第7話 豚気づく

 あれから10日はたったかしら。なんとか、あたし専用おまると食事用の皿を用意させることに成功したわ。オシャレにだって気を遣って赤いリボンをまいてるんだから!


 それもこれも。


 「お嬢様。また、台所でつまみ食いですか?」

 「えへへ。」


 そう、この子。お花って言うんだけどね。とっても気が利くのよ!


 「ぶーちゃんみたいに、まんまるに太っちゃいますよ。」

 「えっ。」


 前言撤回!全然気が利かないわ!あたしは太ってないわよ!丸っこいのは生まれつきよ!千代?今。えって言ったわよね!千代よりあたしの方がスマートなんですからね!


 「お湯沸かした後でよろしかったら、少しお餅をお焼しますから、ちょっと待っててくださいね。」

 「うん!」


 そう言って、お花はかまどに火をつけた。


 「ブヒ?!」

 今、指パッチンで火をつけたわよね?!何この子?!


 「ぶーちゃん?火にびっくりしちゃった?」

 「お嬢様。ぶーちゃんはかまどに火がついてても平気なので、多分ですけど、生活魔法の火種を始めて見て驚いたんですよ。うちの弟も初めて見たときビックリしてたから。」


 「ブヒ?!」

 生活魔法?ぇ?魔法ってあるの?!ここ江戸じゃないの?!あ、あたしにも使えるかしら?


 「ブ!」

 種火!


 ぶっぶー♪

 ――炊事レベルが足りないため、失敗しました。


 「ブヒ?!」

 炊事レベルって何?!


 「ぶーちゃん。そんなに簡単に使えませんよ。私だって、越後屋に3ヶ月女中として奉公してようやく使えたんですよ。それに豚には使えないですよ?多分?」


 「ブヒ…。」

 そ、そうよね。炊事レベルって豚にあげようないものね…。

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