第4話 豚もよおす。

 ぷるぷる。ぷるぷる…。


 「ブヒ…。」

 ちょっと、あたし、お花を摘みに行きたいのだけど?


 「ぶーちゃん。よーし、よーし。」


 「ブヒ…。ブヒ!」

 違うから…!今、なでられると出ちゃうから…!あたしのおし…フローラルが出ちゃうから…!


 「ぶーちゃん?痛いの?大丈夫??」

 もよおしているだけだから!もよおしてるだけだから!だから!トイレーーーー!!!


 「お嬢ー。どういたしやした?」

 「まさぁー。ぶーちゃんが、ぶーちゃんが、ぷるぷるしてるの!」

 「そいつは、大変で。」


 「ブヒ…。ブヒ!」

 げ…限界…あら!イケメン。イケメンの前でもよおすとか…あたしにそんな趣味はないからーーーー!!!


 「まさぁー。ぶーちゃん大丈夫?大丈夫?」

 「すいやせん。あっしにはわかりやせん。ただ、旦那様が購入したときの判定では、健康だったんですが。」


 「ブヒ…。ブヒ!」

 健康よ!健康な…のよ!だから、ほら、トイ…レ!廊下の方に歩いてってるので気づいてよ!


 よたよたと廊下に出るところで、千代に抱きかかえられて部屋の中央に戻される。


 「ブヒ…。ブヒ!」

 本当に!頭の悪い子ね!限界だっつてんだろうがぁ?!あぁぁん?!ダッシュだ!ダッシュでトイレに!せめて!庭に!


 ドドドドドっと廊下に走り出る。


 ――越後屋千代の私物最適活用スキルの範囲外に出たため、脳が非活性化されました。


 「ブヒ。」

 ぶひぶひ?ぶぶぶー。


 じょじょじょー。


 ぶひ。


 ――越後屋千代の私物最適活用スキルの範囲内に戻ったため、脳が活性化されました。


 「ぶーちゃん…。」


 「ブヒ…。」

 シクシク。なによもう。なによ…。

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