勉強会の約束を取り付ける
「ザキくーん」
「わあ」
後ろ姿を見かけて後ろからじゃれつくと、あんまり驚いては無さそうに感じるけど驚いているザキくんがこっちを見上げてから「
「びっくりしたぁ?」
「した」
「ごめぇん、そんなつもりしかなかったぁ」
「あはは!」
じゃれついたままなのでザキくんが肩を揺らして笑うとダイレクトにこっちも揺れる。
「お、うわ、めっちゃザキくん良い匂いする」
「あ、さっき汗拭きシートつかったから、かな?」
「えーやば、そういうの気遣うザキくん好き」
「あはは、ありがとう」
結構体重かけてじゃれついてるのにものともしないで歩くザキくんは流石だな、と思いつついい加減離れて隣に並んで歩く。ザキくんとは高校に入ってからの付き合いだけど気が合ってしょうがなくてというか、一緒にいて気楽でついつい絡んでしまう。
あんまり一緒にくっついてると他校のザキくんファンの女の子たちに悪いかなとは思うけど、そもそも照れ屋なザキくんは話しかけられても無口になっちゃうことも多かったりするので何とも言えない。助けを求めるようにこっちを見るときあるし。
「ザキくん土日暇ー?」
「え?うん、暇だよ、どっか行く?」
「えー?いいのぉ?付き合ってくれるぅ?」
「そのつもりで声かけてくれたんじゃない?良いよ、空いてる」
「優しさーーーー、
「ああ、良いね、どこで?」
「馬場んち、迎えに行くわ」
「え?なんか、ごめんね、ありがとう」
「いいのいいの、俺が勝手に巻き込んだんだしー」
前にテスト勉強、ってわけじゃないけど野郎で集まって勉強会でもしようかと提案したのを実行するだけだ。委員長も馬場も都合がいい日が今度の土日だっていうんで、ザキくんも混ぜて勉強会しよう、って流れになった、ちなみにザキくんと委員長不在で、俺と馬場がさっくり決めちゃったんだけど、二人とも無理なら無理ってはっきりいうあたりが気楽でいい。
「
「そぉなの?」
「うん、実はね」
てっきり女の子相手にだけシャイなのかと思ってたけど、ザキくんは性別とわずシャイだったようだ。
「大門くんのことよく知らないから…」
「あ、イインチョーだったら全然、めっちゃフランクだから」
「そうなんだ」
「馬場と軽快なトークしてるし、俺とザキくんみたいな感じ」
「わかるようなわからないような例えだなあ」
「俺も言っててそう思った」
ふは、と耐え切れないように噴き出すザキくんは、「自分で言う?」なんて言いながら笑う。ザキくんはそんなつもりないんだろうけど、そもそも優しい奴だから、笑い方も優しいし、こういう雰囲気が女の子に人気なんだろうなとしみじみする。足も速いし。…足が速いのは関係ないか。
「でも勉強会かあ、わくわくしながら準備しておく」
「そーしといてー、俺も寝ないようにするからあ」
「ははは、勉強会なのに寝ちゃダメだよ」
「もし寝たら起こしてえ」
「ええ?わかったよ、起こすね」
「優しいかよーザキくぅん」
そんなことないよ、なんてザキくんは言うけど、いや、優しいから。
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