第8話 GOOD SMELL!!

 「で、レオナルドは何を隠してル?」


 寮監の監視の下、素早く食事を済ませた俺と李姉弟は、食堂を後にして俺と蒼玉の部屋に集まった。

 そして、俺は部屋に入るなり紅玉にベッドに押し倒され尋問を受ける事になったのだか、腕を押さえられた俺の目の前には、アジア系美女の顔と重力に負けた2つの柔らかそうな肉饅がある・・・正直、俺の股間が重力に逆らいそうです。


 「姐さん、その位にしてあげようヨ・・・そんな風にされたら、話せるものも話せないヨ」


 「わかったネ・・・でも、ちゃんと話して貰うヨ!」


 紅玉は俺を解放して蒼玉の隣に移動すると、胡座をかいて腕を組んで睨んできた・・・。


 「レオナルド・・・さっきから胸ばっかり見過ぎだヨ」


 「仕方ないだろ!目の前にそんな柔らかそうなのがあったら、健全な男子ならガン見するに決まってるだろ!!」


 俺は、股間を押さえてモジモジしながら答えた・・・落ち着くんだ息子よ、テントを張ってる所なんかを友人の姉に見られるとか公開処刑ものだぞ!


 「もう良いヨ・・・それより、さっきの話の続きよ!知ってる事を全部話すネ!!」


 「どうどう!ちょっと待ってって・・・まずは、室内を全部調べさせて!!」

 

 「どう言う意味ヨ・・・?」


 「盗聴器があったんだよ・・・もしかしたら、他にもあるかもしれないから探したいんだ」


 「・・・レオナルド、いくら自分がモテるからって、被害妄想酷すぎヨ」


 「被害妄想じゃねーし!事実だし!!」


 俺は、ポケットに入れておいた盗聴器の残骸を紅玉に向かって投げつけたが、難なくキャッチされてしまった。

 紅玉は投げつけられた残骸を指でつまみ、まじまじと見る。


 「はー・・・これが盗聴器・・・初めてみるヨ」


 「さっきレオナルドが隠したのはコレだったのカ・・・」


 姉の隣から覗き込んでいた蒼玉も、物珍しそうに盗聴器を見ている。


 「それがどの位の範囲の音を拾えるかは分からないけど、一つだけとは限らないだろ?だから、他にも無いか徹底的に探す!!」


 「盗聴器なんてそうそう手に入る物でも無いし、気にし過ぎだと思うヨ?」


 「馬鹿な事言ってんじゃねえ!盗聴器なんて、作り方さえ知ってれば誰にだって作れんだよ!それこそ、子供の小遣いでも材料買えんだ!!」


 「い、いきなり怒んないでヨ・・・」


 俺の剣幕に、蒼玉は涙目になって謝った・・・ちょっと可哀想な気はするが、実際に盗聴器なんて簡単に作れるのだよ蒼玉君!

 ぶっちゃけ、マイク・基盤・電源さえあれば簡単な物は作れる・・・盗聴器とは、盗聴に使うから盗聴器と言うが、音を大きくする為に使えばマイクになり、公共電波を受信するように作ればラジオにもなる。

 簡単な盗聴器は有線タイプだが、イヤホン・コンクリートマイク・レーザーポインターなどの電波を使わない物だ・・・有線式は隣の部屋など近くに居なければ使えないが、最近ではボイスレコーダーなどの録音機器を使う事もある。

 だが、盗聴で最も使われているのは無線タイプだ・・・マイクアンプを繋げていれば、部屋中の音を電波で飛ばす事も出来る。

 有線タイプの場合は設置者が回収する必要があるが、無線タイプの場合は使い捨てが可能で、電源も寄生タイプであれば故障しない限り半永久的に使用可能という違いもある・・・何故俺が知っているかって?使ってたと思った?テレビやネットのおかげだよ!誤解して貰っちゃ困るぜ!!

 だがこんな事を説明したら、俺が何故知っているのか問いただされるだろう・・・またオパーイを拝めるのならやぶさかでもないのだが、誤解されたり話がややこしくなるのは避けたい・・・そこで、俺は蒼玉を巻き込む事にした。


 「いいか蒼玉・・・俺達の部屋に盗聴器があったという事は、俺だけじゃなくお前も被害に遭ってるんだよ!俺が外出してる間のあんな事やこんな事を、余すとこなく聞かれてるんだぞ!!お前は、今後も自分の知られたくない事を他人に知られたいのか!?」


 「レオナルド・・・僕も喜んで協力するヨ!!」


 「お前なら・・・お前ならそう言ってくれると信じていたぞ朋友!!」


 俺と蒼玉は固く握手を交わす。

 俺と蒼玉が握手していると、紅玉がゆっくりと立ち上がったので、すかさず二の腕を掴んだ。

 紅玉は心底嫌そうな顔で俺を見てきたが、そこはスルーだ。


 「ねぇ、これはまさか私も手伝わなきゃいけない流れカ?」


 「そうですが何か?」


 「面倒くさいネ!」


 なんとも身もふたもない・・・人の心は無いのだろうか?だが、その程度で引き下がる俺じゃねーんだわ。


 「可愛い弟のためと思ってさ、手伝っちゃいなよYOU!それにこの部屋に来てんだし、下手すると君の身にも何かあるかもしれないなー・・・なぁ蒼玉?」


 「そうだヨ!さっき一緒に居たのも見られてるし、もし盗聴器があったとしたら、この話を聞いてた姐さんだって目を付けられたかもしれないヨ!?」


 「ちょっ!卑怯ヨ!?」


 紅玉は必死に振り解こうと必死に暴れたが、俺と蒼玉に羽交い締めにされて身動きが取れず、俺を下敷きにする様にベッドに倒れこんだ。

 俺の鼻腔を、紅玉の風呂上がりの石鹸の匂い&暴れたことによる汗の匂いがくすぐってきて非常に素晴らしい・・・GOOD SMELL!!

 だが、俺はすぐに後悔した・・・匂いに釣られて力を緩めてしまったため、鳩尾に紅玉の肘が刺ささり、ベッドの上でのたうち回る羽目になったのだ!

 天国から地獄に落ちた気分だぜ・・・ヤベェ、息が出来ないんだぜ・・・。


 「こひゅー・・・こひゅー・・・い、息が」


 「じ、自業自得ヨ!うら若き乙女を羽交い締めにした罰ネ!!」


 「ちょっレオナルド!?大丈夫カ!顔が青いよ!?」


 俺は、蒼玉に激しく揺さぶられながら意識を失った・・・。

 


 

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