第7話 変態様がみてる
蒼玉がシャワーを浴びている間、俺はベッドで休んでいるつもりだったのだが、どうにも気になる事があって室内を見渡した・・・盗聴器とかが仕掛けられていないか気になったんですよ。
ルチアは俺の生活の一部始終を手帳に記録していた・・・監視カメラか盗聴器でも仕掛けていないと不可能だろう?
正直、無ければ良いなと思っていたのだが、その希望は敢え無く砕け散った・・・有ったのよね、コンセントのプラグ受けの中にさ!
「うーわ・・・ネットに書いてあった通りの場所に有ったわ」
もしかしたら探し出したのもルチアに知られているのかもしれないが、仕掛けるには部屋に入り込まないといけないため、今後は入り込まれないように対策を練らねばならない・・・この際、蒼玉に相談して協力してもらうか?いや、ルチアは人が変わったように襲い掛かったりするから駄目だな!蒼玉が巻き込まれるし・・・。
「はぁ・・・後で風呂場とトイレも確認しとかないとなぁ」
「お待たセー、上がったヨー!」
「だ・か・ら!隠せって言ってんだろ!?」
またもや全裸で現れた蒼玉に、俺は怒鳴ったた・・・その時、手の中でバキッ!と変な音がした。
「あ・・・」
「レオナルド、それ何持ってル?」
「いやぁ、何でしょうねぇ・・・」
「ふぅん・・・まぁ、良いヨ・・・。
んじゃあ、早く食堂に行こうヨ!たぶん、紅玉姐もそろそろ行ってる頃だと思うヨ!!」
あ、狐目がちょっとだけ開いたよ・・・絶対に疑ってますわこれ!でも、問い質さないところを見ると見逃してくれるのか?
それにしても、せっかくのイケメンなのにブラブラで台無しですよ蒼玉さん・・・。
「お、おう!さぁ行こう!今行こう!すぐ行こう!」
「レオナルド・・・そんなにお腹空いてたノ?」
「えぇ、胃液で胃に穴が空きそうなくらい腹ペコですよ・・・」
「それは大変だヨ!早く行ってたらふく食べるヨ!」
俺は蒼玉が服を着るのを待って部屋を出た・・・他の盗聴器に関しては、俺が風呂に入る時で良いだろう、たぶん・・・きっと。
改めて蒼玉を見ると、長袍と言うカンフー映画で見るような服を着ているのだが、細マッチョな蒼玉によく似合っている・・・嫌味のないイケメンって罪だわ!
「おっ!やっと来たカ!?2人共、この紅玉さんを待たせすぎネ!!」
寮の2階にある食堂に到着すると、先に来ていたらしい紅玉が手を振って俺達を呼んだ・・・こっちはこっちで、身体にフィットした超絶ミニでノースリーブタイプのチャイナドレス&下にはスパッツを履いているため、かなりセクシーだ。
「・・・さっきから何ヨ、まさか私に惚れたカ?」
視線に気付いた紅玉は、腕を組んで胸を張り俺を見た・・・何故だ!さっきのと言い、下着のラインが確認出来ませんぞ!?
「いや、あのさ・・・あまりこう言ったのを直接聞くのは憚られるんだけどさ」
「ハッキリ言うネ!」
「下着ってどうなってんの?」
「なっ!?・・・確かにハッキリ言えとは言ったのは私だけどネ・・・面と向かって聞いて恥ずかしくないカ?」
呆れたようにため息をついた紅玉は、俺に顔を近づけて耳打ちしてきた・・・風呂上がりの良い匂いと美人の吐息がヤバイです。
「上はブラの紐がズレるからニップレス、下はラインが出ないのしか履かないヨ・・・」
むむむ!ラインが出ない下着ですと!?それってまさか・・・アレですか!?
「まさか、Tのつくバックの下着ですか?しかも、紐ですか?」
「いちいち言わなくて良いヨ!でもまぁ、その通りヨ・・・ドレスはスリット深いからネ、色々と気を使うネ」
まだ10代の若者が紐のTバックとはけしからん!誠にけしからんですぞ!!これは、腰を据えてじっくりと話をしなければなりませんな・・・。
「ドレス以外の選択肢は無いのでしょうか?」
俺は気を取り直して素朴な質問をしたが、紅玉は苦笑しながら首を振った。
「無いネ!私達みたいな留学して来た人ハ、自国の服を着るって言う暗黙のルールみたいなものがあるネ!私が普通の服を着た時の皆んなのガッカリ感・・・あれは耐えられないネ」
「あーね・・・確かにそんな感じしますわ。
それより蒼玉、さっきから静かだけどどうかしたのか?」
俺は、黙ったまま周囲をキョロキョロと見ている蒼玉に問いかけたが、何やら目つきが鋭いですぞ?
「さっきから、なんか視線を感じるネ」
「視線?誰かこっち見てるカ?」
まさかねー・・・あのキチ◯イが居るなんて事は・・・居るに決まってますよね!全寮制ですからね!知ってましたよ!!
俺は気付いてしまったのですよ・・・俺達から5つ程離れたテーブルの影から立ち昇る邪気にね!!
可視出来る程のオーラよ?スカウターが在ったら爆発してますよ本当に・・・。
「キノセイジャナイカナー!?」
「何で私達より片言になるヨ・・・何かアヤシイネ・・・レオナルド、何か隠してないカ?」
紅玉は俺のネクタイを掴んで引き寄せる・・・メーデー!メーデー!邪気が更に増したよ!怨念がおんねんって感じよ!!
「全く身に覚えがございません!」
「一昔前の汚職政治家みたいなセリフを言うとハ、ますますもってアヤシイ・・・正直に言うネ!!」
周りに居た他の寮生(男)達は、美人に言い寄られている俺を見て舌打ちをし、女子達からは紅玉に対する怒りのこもった視線が集中している・・・もう何が何だかんだ俺にも分からんわ!怨念はルチア一人でお腹いっぱいよ!!
「何を騒いでるんですか!?」
おーっと、ここで新キャラ乱入か!?
現れたのは30代くらいの女性だったが、その女性を見た途端、周りに居た寮生達は蜘蛛の子を散らすようにその場を離れた・・・何と言う統率力だよ。
「紅玉姐、寮監ヨ!すぐにやめるヨ!!」
「ちっ・・・後でちゃんと話してもらうヨ」
蒼玉に窘められた紅玉は舌打ちをすると、渋々と席に着いた。
ルチアらしき怨念も、寮監が現れてから感じなくなっている・・・俺は、あの寮監になら全てを捧げても良いと心底思った。
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