第3話 新たな人生の幕開け③

 俺は、目の前で悩んでいるレオナルドの両親と変態・・・おっといけない、アリスを見てため息をついた。

 アリスが運んで来てくれた朝食は冷め始めていたが、俺はどうも食べる気がしなかった。

 別に腹が空いてない訳じゃない・・・サーシャの事が気になったのだ。

 俺が入り込む前のレオナルドがどんな奴かは知らないが、両親の反応を見ればだいたい分かる。

 そんな奴が、まだ5歳の妹に何をやらかしたのかが気になり、食べる気が起きないのだ。


 「このままじゃダメだよな・・・どげんかせんといかんのですよ!」


 「どうなさったのですかいきなり・・・」


 俺が叫ぶと、両親は身体を硬直させ、アリスは鞭を取り出し俺に差し出してきた・・・ブレない変態は厄介だな!何でもかんでもそっちに繋げやがる!


 「家族は一緒に飯を食うもんだろ?

 毎回じゃなくても、家に居る時くらいは一緒に食べるべきだ・・・」


 俺は踵を返して食堂を出ると、2階にあるサーシャの部屋に向かった。

 俺は何処がサーシャの部屋かは知らなかったのだが、何故か身体が勝手に向かっていた・・・レオナルドの身体が覚えているのだろうか?


 「サーシャ・・・居るかい?」


 扉をノックしたが、返事はない。


 「・・・入るよ?」


 「やなの!しゃーしゃはにーしゃまにはあいたくないの!!」


 俺がドアノブに手を掛けると、中から可愛らしい声が聞こえた・・・めっちゃ可愛い声で拒絶された。

 どんな子なんだろう、両親&レオナルドを見る限り、美幼女なんだろうな・・・見てはいないがきっと美幼女に違いない!俺はロリコンじゃないが、可愛い幼女は愛でるものだと思います。

 でもね、そんな可愛い妹(仮)が「にーしゃまにはあいたくないの!」だってさ・・・死のう・・・。

 だが負けん!男には、負けられない戦いがあるのだよ可愛い妹(仮)よ・・・可愛いお顔見ーせて!!

 

 「サーシャが嫌がる事をしてゴメンね・・・もう二度としないから、ちゃんと謝らせてくれないかな?」


 俺は申し訳なさ半分、可愛い妹見たさ半分でドアノブを回して扉を開けた。

 カーテンを閉めているからか、灯のない室内は薄暗くてよく見えない・・・俺はゆっくりと部屋に入り、窓際に向かってカーテンを開ける。

 朝日の入り込んだサーシャの部屋は、ベッドも家具も何もかもが小さく、可愛いぬいぐるみや人形が並んでいた・・・だが、サーシャらしき姿は見えない。


 「どこにいるのかな?」


 俺が話しかけると、クローゼットから微かに音が聞こえた・・・妹よ、それで隠れているつもりかね?


 「開けるよ・・・?」


 俺はクローゼットに近づき、刺激しないように優しく声を掛けてゆっくりと開けた。

 そして、俺は悶絶した・・・クローゼットの中にね、天使が居たんですわ!小さくてね、産まれたての子鹿みたいに震えててね、涙目でこっちを見てるのよ?誰だってコロッと行きますわ・・・したがって、俺は断じてロリコンじゃない。

 でもさ、目が怯えてんのよね・・・レオナルド、お前は一体何したん?いや、言わんでいい!!こんな天使が怯えているんだ、敢えて言おう!貴様はクズであると!!


 「やーなのー!にーしゃまきらいなの!!」


 妹よ、目が合った瞬間にガン泣きするのはやめて頂けませんか?兄も泣きたくなるのよ・・・あ、涙出てきたわ。


 「悪い兄様でごめんな・・・もう二度とサーシャが嫌がる事はしないって約束するよ」


 「ほんと?ほんとにやさしくしてくれるの?」


 「あぁ、絶対に優しくする・・・だから、許してくれるかい?」


 俺はゆっくりと手を伸ばしてサーシャの髪を優しく撫でる。

 サーシャの絹のように滑らかで柔らかな黒髪は、俺の指をくすぐるようにすり抜けていく。

 

 「にーしゃまないてるの?どっかいたいの?」


 俺の顔を心配そうに見てきたサーシャは、クローゼットから出て来て俺の涙を優しく拭ってくれた。

 うん、やっぱり天使だわ・・・この子が産まれた日には、毎月生誕祭を開こう!だが何度でも言うが、俺はロリコンじゃn(ry


 「サーシャは優しい良い子だね・・・さぁ、下で皆んなが心配してるからお顔を見せてあげよう。

 お腹は空いてないかな?良かったら、一緒に朝食を食べよう」


 俺はもう一度サーシャの髪を優しく撫でて立ち上がる。

 すると、サーシャが足にしがみついて来た・・・俺に天使が舞い降りた!!


 「どうしたんだい?」


 俺がもう一度しゃがみ目線を合わせて尋ねると、サーシャはもじもじとしだした・・・いやーん!かーわーいーいー!!


 「にーしゃま、だっこ・・・」


 あぁ、もう死んでも良い・・・だが俺h(ry


 「今日からは、サーシャがして欲しい時に抱っこしてあげるよ!」


 サーシャははにかみ、俺の首に腕を回す。

 子供特有の高い体温が暖かく、何やら甘い香りがする・・・クンカクンカ・・・はっ!俺は何をやっているんだ!?こんなの、まるでロリコンじゃないか!!危うくアリスの仲間入りをするところだったぜ・・・。


 「にーしゃま?」


 不思議そうに首を傾げるサーシャに、俺は妄想を振り払って笑い返した。


 「何でもないよ・・・行こうか?」


 サーシャを抱っこしながら部屋を出て食堂に向かう。

 俺がサーシャを抱っこしたまま食堂に入ると、両親とアリスは目を丸くして驚いた。


 「にーしゃまごはんー!」


 「はいはい、一緒に食べようなー」


 俺は、サーシャを椅子に座らせて隣の席に着く。

 すると、アリスが近づいて顔を寄せてきた・・・例え使えない変態とは言え、美女の顔が近くにあると落ち着かない。


 「なんだよ・・・」


 「いえ、一体どうやってサーシャお嬢様を口説き落とされたのか、その方法を是非お聞きしたいと思ったのですが・・・レオ様は幼い妹君さえ構わず籠絡してしまう、所謂すけこまし野郎だったのですね・・・わたくし、感動と畏怖で震えております・・・」


 どう曲解したらこうなるのだろうか・・・変態の考える事はわかんねーや!!


 「父さん母さん、今までゴメン・・・これからは色々と改めるよ」


 俺が無視して両親に謝ると、アリスは残念そうに厨房に消えて行った・・・恐らく俺を挑発して、お仕置きと言う名のご褒美を期待していたのだろうが、そうは問屋がおろさねーぜ!!

 俺は勝ち誇った表情でアリスの後ろ姿を見送り、その後はサーシャの面倒を見ながら朝食を食べた。

 


 


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