幕間 追われる者と、追う者。
その
自分の職務が海の秩序の維持に貢献していると信じているのだ。
ロロスロード王国の都市の一つ、ロードイの街中でその
人混みに紛れ、あたかもその街の一員であるかの如く、もしくは、その街を初めて訪れた観光客の如く溶け込み、獲物を狩る。それが
とある理由により、
指名手配中の、ある人物に関する情報を入手する事が、今回
そしてその時はやってきた。
―
さりげなく新聞を畳むと、椅子から立ち上がる。
そして、人ごみに紛れ
細心の注意を払っている筈なのにどうやら気付かれたらしい。しまったと思った時には、
咄嗟に飛び出すも、既に
仲間からみるみる離れていくが関係ない。追い付く事のみに専念するも、どんどん
風を切り、音の如き速さで屋根から屋根へと駆け抜けるその姿は弾丸の様だ。
とうとう
「糞ったれ!逃げられた」
「そうか、見失ったか」
と豪勢な椅子に腰掛ける詳細不明の人物は言った。
海精を介した
その謎の人物が腰掛ける部屋は、絵画が申し訳程度に飾られているだけでこれと云って特徴がない。
謎の人物は深く息を吐き出すと、足を組み直した。
「…残念だがこれ以上の調査は許可出来ない。上の方々も、今回の調査には深い興味を抱いておられる。―海の
「ああ。その通りだとも。―
謎の人物はそう言うと受信機を下ろした。
謎の人物が腰掛ける椅子の前には机が置いてあり、その上には一枚の封筒が置いてある。
机の引き出しを開け、判子と朱肉を取り出すと、丁寧に捺印をした。
ちょうどその時、扉がノックされた。
「おお、ちょうどいい時機に。入り給え」
「失礼します」
そう言うと謎の人物の部下が入室してきた。
「お呼びでしょうか?局長」
「ちょうど移動辞令を
「承知しました」
部下は一礼すると、部屋から退出する。
部下の手に持つ封筒には、〜ガンデラへの移動辞令〜と書かれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます