第四話 ロードイの街中。
レンガが規則正しく積まれ海上汽車が数多く通るロードイの入り口、ロードイ湾岸駅。海上汽車がグルッと一周した後に停車するこの駅は、出口から先は直ぐに街に繋がっている。
クルルスとラリクスの二人は手を繋ぎながら汽車から降りると出口に向かった。
石レンガと石造りの建物が建て並び、そこを大小様々な道路が計画的に作られた調和の取れた美しい街を多種多様な種族が行き交っている。
実に様々な売店や催しがあり、同じ服を着た従業員が観光客をもてなしていた。
とある売店では、草原を駆け回るという馬に近い外見の
そしてどれもが一つの点において共通していた。
あるモノは空飛ぶ猫に似たナニカに、
あるモノは宙を漂う炎に、
あるモノはあるモノは足元をうろちょろする得体の知れない小動物に、
口から吹く炎を使い料理をしたり、
空中ジャグリングをしたり、
空中遊泳の催しをしたり、ナニカしらの手を借りて何らかの力を使っていたのだ。
成程どうやらこれがクルルスの言っていた―、
「あれって、ひょっとして―」
ラリクスは恐る恐る尋ねる。クルルスは朗らかな笑みを浮かべて―、
「そう、あれが上位海精だよ♪しかも超位種族レベルの客が来ても不調を
よく見たらその
この淡い光というのは
「へえ…海が違うだけでこうも文化に差が出るんだ…。おもしろい。大陸毎に違うのかな?九つ諸島とは全然違うや」
「九つ諸島はかなり特殊な地域だから仕方無いよ。気にしても無駄無駄。それよりもリリアさん探しだよ。人探しする為に行くべきとこはど〜こだ?」
クスクスと笑いながらクルルスは言った。かなり楽しそうである。
ラリクスは顎に手を当て考えてみるが何も出てこない。ラリクスはそうそうにギブアップをした。
「う〜ん、…分かんないな。…どこ?」
クルルスはもったいぶるように溜めてから言う。
「正解はね、……居酒屋だよ。うまい酒のある所にはたくさんの酒好きが集まってくる。酒好きに種族とか国とか関係ないからね。多くの人が集まるとこに情報は集まるんだよ?それにリリアさん自体も大の酒豪らしいしね」
「ふうん。大酒豪かぁ。そのリリアって人はそんなにすごいの?」
ラリクスの質問にクルルスは眉をひそめる。暫く何かを思い出そうと額に手を当て考えるが―、
「…ごめん、私も詳しいことは分からないけど何か位の高い海精と契約してるんだって。ロロスロード王国の顧問海精使いをやってる位だし、他の大海域でも名が知られているし凄い人なのは確かだよ。ところでラリクスはお酒イケるの?」
急な話題転換に驚ききつつも直ぐに答えるラリクス。ほんの一瞬思い悩むも素直に答えた。
「お、急な話題転換だね。まあ飲める年になったけどあまり飲まないかな。というか飲む機会ほとんど無かったし不味かったし」
一人ぼっちで人あまり関わらないというのに酒を飲む機会があるわけない。酒何ぞ片手で数える程しか飲んだことがないし、そのどれもが不味かった。
九つ諸島に住む人達にとっては美味しいらしいがどうも不味いと心の何処かが訴えてくるのだ。本当に美味い酒はこんなもんじゃないと。
こういった事もあり、よりラリクスの孤立に拍車をかけるとになったのだがそれはまた別の話。
閑話休題。クルルスは暖かな笑みを浮かべるとラリクスの肩を叩いた。
「大丈夫だよ。ここのお酒は美味しいから。ここは港市国家、世界中の美味しいお酒が集まってくるんだからね?」
ほんの少し、ほんの少しだけ心配になったがラリクスは返事をした。
「わ、分かったよ」
二人は居酒屋のある区画に向かうことにした。
駅の周りはどちらかと言うと売店が多く、世界の特産品売場という感じが強かったが、駅から離れると街の雰囲気はがらりと変わる。
魅力的な外見をした建物や、カラフルな建物があり、特色のあるそれぞれ違う服を着た従業員が客を楽しませる為に催しやトークをする、まさに娯楽都市に相応しい雰囲気になった。
『御入港された皆様にお知らせします。本日、年間入港者数400万人突破を記念してロードイ・グランテ=ホテル、シンフォ=スパルナ・グランにて特別なショーを開催します。これからも引き続きロロスロードで素敵なひと時をお楽しみください』
『ただいまロードイ・シルカノアにて大賭博会を開催しております。是非ともご参加ください。また――、』
大まかなエリアがロードイにはありエリアごとに異なった放送がされたいた。そしてたくさんの観光客がいる為、活気に満ちており非常に賑やかな中、二人は仲よく手を繋いで歩いていた。
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