第一章 エデン八王伝記・エリュシオン

「そんなバカな……」


 その女性、八王の一人“生命の王”メドウは立ち尽くしていた。


「何を驚く。メドウ。無能の皇帝が死に、力ある王が権力を手にする当然のことだろう」


 このエデン帝国の皇帝グレストが“雷統の王”シュヴァルストによって殺害され、その死体が哀れにも床に転がっている。

 本来ならば許されざる大罪。

 だが、メドウは皇帝の死よりも、その皇帝をアッサリと殺した人知を超えた力を持った雷統の王に恐怖していた。


「し、シュヴァルスト卿……あなたは一体なにを……」


「これよりこのエデンは私が支配する。いや、この世界の統治は私が行う。この私、天を支配する真なる王。“空帝の王”シュヴァルストがな」






「シュヴァルスト卿は……その力で魔族を全て滅ぼしました……。世界は平和になった……ですが、代償に全ての国も人々も彼に支配される独裁政権、暗黒時代の到来となったのです……。彼を倒すためなら僕も力を貸します」


「ハッ、八王の座なんざオレには興味ねぇよ。てめぇ、なんでも未来から来たらしいな? だったら手ぇ貸してやるぜ。このオレ、白王座第六階位“双牙の王”フラウザー=ミルへルム様がよぉ」






「よぉ! フィリア=クーへ! てめぇこんなになってもまだシュヴァルストに仕えてんのかぁ? さすがはシュヴァルスト様の剣だなぁ、おい!」


「フラウザー……八王を裏切っておきながらよくも抜け抜けと……。私は何があろうと最後までシュヴァルスト様に従う!」


「アホが……剣ってのは持ち主にただ使われるだけかよ。ちったぁその頭で考えな、剣を持つ主を正すのも剣の役目だろうがよおおおおおお!!」






「ほう、未来から来た客人か。これは興味深い。いいだろう、ならば私が知るシュヴァルスト卿の情報をくれてやろう」


「黒王座第五階位“虚偽の王”ヨハン=ヴォルテンブルグ ……あなたはシュヴァルスト卿を裏切るというのですか?」


「これは異な事を言うなメドウ。私が仕えるべきはエデン皇帝グレスト卿のみ。シュヴァルスト卿に忠義を尽くしたつもりはない」






「私は……シュヴァルストについていく……。そうでないとディゼルが……戻らないんだ!」






「ふ、ふふっ……私を倒したか……未来より訪れた希望よ……。だが、私を倒しても意味はない……なぜなら私もまた傀儡の王にしか過ぎないからだ……」


「シュヴァルスト卿、それは一体どういう……!」


「彼は十分に役割を果たした。そういうことです」


「お前は……!」


「白王座第八階位“禁忌の王”……!」


「その名で呼ばれるのは好きではありませんね」


 静かに禁忌の王と呼ばれる男がローブを脱ぐ、その下に現れたのは緑の髪。

 そして、神話にて描かれた空王エデンと瓜二つの姿。


「我が名は、真なる空王の継承者――オシリス=エデン。この人の時代まで生き延びた真なる神の子です。さあ、来るがいい、未来より訪れし希望よ。僕はこの世界を維持する。たとえ、恐怖を持ってしても、この世界を維持することがきたる滅びを止める唯一の手段。それを知らぬ君達に僕を――神を越えることなどさせない」





SSR“雷統の王”シュヴァルスト

SR“爪牙の王”フラウザー

SR“支配の王”アリス

R“生命の王”メドウ

R“心眼の王”フィリア


第一章クリア後、追加キャラクター

SSR“空王”オシリス=エデン

SR“虚偽の王”ヴォルテンブルグ

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