再開

罰を受け終え定位置に着き授業を受けているとまた教師がほら吹いてやがる。

 『妖怪は比較的昼は暗くてジメジメしたところで生活しています〜〜』

 ウチの学校が学年30人しかいない理由がこれだ。ここは今ではなりたい職業ランキングYouTuber、医者に続く3位を誇る巫女・神官養成学校だからだ。なら人数増えるだろって?てか巫女・神官ってなんだよって?まず巫女・神官っていう仕事は妖怪が一般人から見えやすくなる9時から12時までの間に妖怪を殺し成仏させた気でいる奴らだ。え?それでどーやってお金が入ってるのかって?殺した時でる妖怪の意志(石)を換金してるから。で人数がどーして少ないかって言うと職業柄あんま人を入れられないからエリートを選ぶため超絶難しい試験をしてるから以上。ここに来れば良い情報が入って来るかもって思って来たものの、妖怪の昼は関係ないと思って適当な事言いやがって!あいつらみんなアウトドアだから!明るいとこ大好きだから!

 キンコーンカンコーン

やっと胸糞悪い授業が終わり、この学校唯一の楽しみである放課後が始まる。

 『圭太〜。お化けを守る会行こうぜー!』

この恥ずかしさのあまり頭が沸騰してしまうこの名前。俺に近づいてくる奴なんて学校では1人しかいない。付けたのは当然集人だ。しかもこいつやはり周りを気にしていないのかこの名前を平然と言い放つ。

 『プップッ。お化けを守る会って』

クラスメイトから集人と俺に、来た時とはまた違った嘲笑うような目線が降り注がれる。

バタン!!

 『誰だ!今、集人をバカにしたのは!』

その目を俺にするだけなら我慢出来るが友達にもするってなら話が変わってくる。俺は机を叩きながら立ち上がり怒声をあげる。俺の怒りが伝わったのか、さっきまでバカにしてた奴らは時間止まったように固まってる。

 『いいよー。あんな奴らほっといて行こ!』

俺が怒ってるのもおかまいなしに集人は俺の背中を押し、俺たちは教室を後にした。

 

 『図書室は静かでいいねー』

さっきの事何か無かったようにゆったりとした声で集人は言った。

 『そーだなー』

集人とは反対に全く切り替えが出来ない俺は仏頂面で返した。

 『圭太は仕方ないなー。てかそーいやーそろそろ新入部員が入る時期だね。誰が入ってこないかな?』

俺を元気付けようとしてるのか、デフォルトかは分からないが明るいテンションで言った。

 『これ部活として認められてないし、同好会でも無いから俺たち以外もー誰も来ないと思うぞ』

さっきの教室と同じような静寂が図書室を走った。まさか冗談だったか?俺って冗談も分からないようなノリの悪い奴だったっけ?

 『ホントか?』

机から身を乗り出し俺と顔が当たりそうに近づきながら目をキョロキョロさせて焦っている。よかった。新年度入って忘れるとこだったがこいつはバカだ。ふーと額の冷や汗をかいていると、

 『先輩♪ここがお化け守ろうの会ですか?♪』

俺の耳元で甘い声が囁かれた。その刹那俺は二つのことを考えた。一つ目、何でこんな所に昨日のあざとい系後輩女子がいるのだ!?という事。そして二つ目、お化け守ろうの会って最高の名前だな!

 

 『という事で今日からお化け守ろうの会に入部します♪閻魔でーす♪よろしくお願いします♪』

やばい。可愛すぎる。昨日は暗いせいかよく見えなかったが、守ってあげたくなるような可愛いお顔にピンクのツインテールが納豆とご飯並みにマッチしている(語彙力皆無)。そして年下系とは思えない立派な体。三次元興味ないを提唱する俺だがこんなの見たら三次元最高って手のひら返ししてしまう。 

『てかお前昨日の。どーしてこの学校にいるだ?』

俺はさっきまでの甘い思考を、頭を振る事で強引に振りほどき質問した。

『そんなの先輩がいるからに決まってるじゃないですか♪』

こんな惚れてしまうやろ!と心で叫び。俺の恋心に一瞬火が灯ったが、やはり一瞬だった。

『昨日の言葉聞こえてなかったんですか?これ以上妖怪を地獄に入れない為に先輩の協力するって言ったじゃないですか♪なのでいつでもサポート出来る様、一緒の学校に来ました♪』ボソッ

上目づかいでそー言われると、可愛いけど、さっきの勘違いが恥ずかしくて、何か複雑だ。

パシャン

『じゃー閻魔ちゃん入部お祝いで近くのファミレス行くかー』

集人は俺と閻魔ちゃんが2人で喋って除け者にされてるのが嫌なのか、合掌し多少強引に話に入ってきた。

 『賛成です♪圭太先輩も来てくれますよね♪』

反則級の上目づかいで俺を見つめながら言った。こんな断れるわけないだろ!

 『行きます!むしろ行かせてください!』

興奮のあまり何か変な事を言ってしまった。

 

平日の夜という事で客足も少なかったので多少大きな声で談笑しているうちに夜の8時半になってしまった。

 『悪い。そろそろいつもの用事行かないと行けないから抜けるわ。お金ここ置いとくな。じゃお前らもほどほどにな』

俺はいつもの日課である、巫女・神官狩りのため先に上がろうとすると俺の腕に柔らかい感触が伝わってきた。

 『先輩♪今日の夜は一緒に過ごしてもらいますよ♪』

俺に天使の囁きが聞こえた。その瞬間俺の顔真っ赤に高騰し、対称的に集人は極寒の地にいるような真っ青な顔になった。

 『そ、それはどういう意味かな?』

俺は溢れ出る童貞臭を隠す事が出来ず、もろ動揺してしまった。

 『え?今日も昨日と一緒の事するんですよね♪ならお手伝いしますよ♪』ボソッ

キョトンとしながらナチュラルあざといなのか俺の左腕を握りながら上目づかいというダブルコンボを決め込んできた。

 『な、なんだ。そーゆーことか?』

何か、がっかりなような、がっかりなような、うん。期待してしまったわ。さっきとは別に羞恥心で俺は顔を真っ赤にしてしまった。


 


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