誰もが口にできない、真実の正義がある。
口を突いて出た矢先、不可解に殴られ奪われてしまう正義。
この世界の間違いに我こそは気付いたという、あの正義だ。
私は長らく、世界に痛めつけられて奪われてしまった正義を探していた。
そうしているうち、洋館ブランチに辿り着いた。
この探偵社を取り仕切るグラムロック探偵の「王子様」は、とても優秀だった。
私が探していたものをいとも容易く見つけてきてくれたのだ。いや、というよりその助手の緋糸さんと桜花さんが初めから奪還済みだったというべきか。
彼女らは徹頭徹尾正義を貫いた。誠実さと優しさをもって。この世の不可解に殴られ奪われそうになりながら、懸命に立ち向かった。そして真実に辿り着いた。
不可解なものがミステリーで、それを解き明かすのが探偵ならば、間違いなくこの小説は究極のミステリー小説と言えるだろう。自信を持ってお薦めする。ただし気を付けて欲しいのは、多くの創作家が躊躇い、終ぞ暴く事の無かった「暴いてはいけない真実」を暴いている点だ。無意味に首を突っ込むことは賢い判断ではない。
だがしかし、もしもあなたの心に晴れないモヤが掛かっていたなら、今すぐにページを捲り、王子探偵社・洋館ブランチに行ってグラムロック探偵に依頼をすることをお勧めする。なぜならそのモヤの正体は、真実の正義が奪われたことに気付かせないために世界が仕組んだ巧妙なトリックだからだ。それを取り払う為ならば危険を冒してでも行く価値はあるだろう。
「あなたの正義は、あなたの為に在るのだから」