探偵は人生をロックンロールのように
探偵は臭い飯を食う
「田代〜、保釈金積んで〜」
「甘えるな。社にそんな余裕はない」
王子様は拘留されてもマイペースだ。
桜花や大勢の幼稚園児の命を救う為だったとはいえ、罪状がずらっと並ぶ。
①住居不法侵入
②恐喝
③監禁
④(微妙だけど)傷害
⑤(これも微妙だけど)名誉毀損
などなど。
田代さんは王子様に一緒にやると申し出たけど一人でやると突っぱねたそうだ。田代さんまで警察の世話になったら王子探偵社の業務がまわらなくなるからだ。
「加納さ〜ん、早く出してくださいよ〜」
「王子ちゃーん。俺の担当じゃないからね。悪いねー。その代わりね」
「なにかしら」
「今回の件の王子ちゃんの手際の良さとパワープレイにいたく上層部が興味を示しちゃってね。もし王子ちゃんさえよければ手伝って欲しい事件があるんだけどね」
「いやよ。手伝ったってなんの得もないじゃない」
「いや事件の捜査中は仮釈放」
「え」
「解決に至った場合は量刑を大きく減じて少額の罰金で済むかも」
「ほんと?」
「でも、ちょっと重たい事件なんだよね」
「いい、いい。やるわやるわ!」
「・・・・という訳で仮釈放なのよ。
「なんか適当ですね」
「現実なんてそんなもんよ。深謀遠慮に見えた大臣が実はあみだくじで政策を決めてたとか」
なんてネガティブでしかも本当にありそうで怖いたとえをするんだろう。
「とにかく、事件の解決に全力注入だね。で? どんな事件なの?」
「テロの
「え? せんめつ?」
「テロを全滅させることが殲滅。あ、我ながら美味かったわね」
「安請け合いしやがって」
「田代が保釈金出してくれないからよ」
「1,500万円だぞ!? ウチを破綻させたいのか!」
「ごめんごめん。それでね。テロが絡むから情報は極秘扱い。家族にも漏らしちゃいけない」
「わあ。厳しいんだね」
「そうよー、
へー。合・・・宿?
「だ、ダメダメダメ! 」
「あらどうして? 緋糸クン、合宿は嫌いかしら?」
「合宿は好きだけど、それぞれに家庭があるでしょ?」
「わたしはないわ」
「俺もない」
「わたしは、あるー」
アタシはあまりにも可愛い反応をする桜花の頭を思わず撫でた。
「そ、それに、男子2人に女子2人で一つ屋根の下なんてマズいでしょ」
「わたしは今は恋愛に興味はないわ」
「緋糸も桜花も俺の対象年齢外だ」
「わたしはみんなと仲良くしたい!」
ああ。
桜花が一緒ならどこで生きてもいいよ。
と、いうことで本当に合宿が決まった。
早速ショッピング・モールに買い出しに出かけた。
「わあー。テロのお泊まり会たのしーなー!」
「ちょ、桜花!」
「あ、そうか。ただのお泊まり会たのしーなー!」
向こうでは王子様と田代さんが何やら深刻に議論してる。
「田代。探偵ならスコッチでしょ」
「いいや。探偵はブランデーだ」
やだなあ、大人って。
「お姉ちゃん、ポテチとおせんべ、どっちがいい?」
そうそう。お泊まり会はこうじゃないと。
食料だけでなく懐中電灯やらなぜか砂時計やら買い込み、ついでにトランプと花札まで買った。
洋館ブランチに戻ってアタシは素朴な疑問を言ったよ。
「ベッドが2組しかないけど」
王子様と田代さんが、安心しろ、と声を揃えた。
『探偵は、ソファで寝る』
ハモって、気持ち悪かった。
「ところで、テロってなにしようとしてるの?」
「サブカル女子の駆逐」
・・・・・・なんのために?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます