探偵は監督する
罪滅ぼしのつもりなのか、中学側はアタシが女子柔道部の監督になることを了承してくれた。なので放課後の部活の時間帯だけアタシは中学に出向き、エインたちを全国中学総合体育大会に県代表として出場できるように指導に当たることになった。
それでね、あたしの家事手伝いとしての役割を
「桜花、ごめんね」
「平気だよー、お姉ちゃん。わたしにずっとOJTしてくれてたからバッチリだよー」
ああ。桜花。
可愛いだけでなく、頼りになるし、アタシの人生の同志だよ。
探偵社の方はターゲットが一般人であることを考えるとむしろ業務のコアタイムを夕方以降にずらすことも効率的な時間配分手法のひとつだ。仕事帰りのターゲットを尾行したりという調査業務は夕刻以降をメインとして午前中は書類や依頼人への報告業務の時間に当てるってことで王子様と打ち合わせた。
「
「な、なに? 改まって」
「本当の大人はね、若い子の将来を考えるものなんだろうけどね」
「ふふ。考えてくれてるよ、王子様は」
「そうかしら」
「そうだよ。アタシはこの仕事やってなかったら多分、人はなんで悲しいんだろうとかどうして働かなきゃいけないんだろうとか知らずに生きてったと思うもん」
「そうなら嬉しいけどね」
「それに、自殺したあの子のことも。探偵やらなかったら、ずっと負い目しか感じずに生きてったと思う」
まあ、こういう感じでアタシの属性は、探偵助手、女子柔道部監督、家事手伝い、って感じなのかな。
「お姉ちゃん、一番大事なもの忘れてるよー」
「え。なんだっけ、桜花」
「お姉ちゃんはわたしのお姉ちゃんだよー」
そっか。
桜花・姉、が最強の属性かもね。
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