探偵は何時如何なる時も推理する
今日はオープンの無礼講。
王子様とアタシと
イタリアン・カフェで昼食を摂り、チョコミント・ソフトをペロンと舐め、たこ焼きをひっくり返すやつでコロコロとローリングされた熱々の出来立てたこ焼きをハフハフと食べ歩いた。
なんか、食べてばっかり。
「かわいー!」
桜花の愛らしくもカッコいいコスプレに反応した女子たちが撮っていい? と群がって来た。
ふふ。アタシの妹だよ? 羨しかろう。
なんてアタシが悦に入っていると悲鳴が上がった。
「きゃあっ! 車が、車が!」
見ると駐車場の真っ赤なアウディの隣で声は派手だけど呆然とした感じで立っている女性がいた。
アタシたちは車に歩み寄って行った。
「どうされました?」
アタシが声をかけると女性は車のタイヤを指差す。
見事に4本ともパンクしている。
そして側面を見ると2cmぐらいの深い傷がつけられているのが分かった。
「ナイフね」
「え、王子様? 見ただけで分かるの?」
「ええ。アメリカに行った時、地元のマフィアと揉めてやられたことがあるわ」
え!?
こ、ここで王子様のとんでもない過去情報がいきなり出て来たけど、と、とりあえず初心者マークをつけた女子大生ぐらいの女性を助けることが先決。
「きれいな車ですね」
「は、はい。大学に通うのに親に買って貰ったばかりだったんです」
「全然気づかなかったんですか?」
「はい。買い物を終えてカートで荷物を運んできたらこうなってました」
うーん。推理の働かせどころだな。
でもね、現実の探偵は推理というよりも捜査をまずは優先するよ。だって使える手がかりがあればその方が時間も短く確実だから。
「防犯カメラは・・・」
「
「え?」
「間違いないわ。このバルブ付近を2cmほどナイフで突き刺して確実にエアを抜くやり方。スミザリーン・ファミリーの手口よ」
「え? 何ファミリー?」
「スミザリーンよ。アメリカのデトロイトを中心に活動する小規模だけどエグいマフィアよ。しつこさと残忍さでは全米屈指ね」
なんだろう。全米屈指とか言われてもピンと来ないぐらい現実感の無い話だな。
「スミザリーンなら監視カメラの視界に入るような間抜けなことはしないわ。お嬢さん、災難でしたね。でも安心なさい。このアウディの駐車位置がちょうど都合よかっただけで、マフィアはお嬢さんには何の恨みもないはずよ」
王子様、黙ってればいいのに。マフィアなんてはっきり言うからこの大学生の女性、ビビっちゃってるよ。
でも。
今度はマフィア?
こういのって探偵の日常茶飯?
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