探偵はコミカル路線に軌道を戻す

探偵はデートしたい

緋糸ひいとクン、デートしようか?」

「え、えっ!?」


 な、何を突然言い出すの? このお姫様みたいな王子様は!?


「あら、イヤならいいわ。桜花おうかクン、デートしようか?」

「うん! わたし王子様とデートする!」

「おいこら王子様」


 アタシは王子様という尊称を呼ばわりながらぞんざいな言葉を投げかけることに違和感を覚えながらも言わざるを得なかった。


「最初に15歳のアタシに声をかけて間髪入れずに5歳の桜花にアプローチ。犯罪者かおのれは!」

「あらあら緋糸クン。言葉が乱れてるわよ」


 明日から連休でまったりと洋館ブランチにたむろっていたところに飛び出た王子様の突拍子もない発言。

 王子様に事情聴取をしたところ、連休初日にオープンするアウトレットに一緒に行ってくれる相手が欲しかっただけだという。


「ほら、単独だとわたしって目立つから」

「だったらそのグラムロック・ファッションやめればいいじゃない」

「ちっちっちっ。緋糸クン、これがわたしなのよ。人生観を変える気はないわ」


 なんか大げさだなあ。


「王子様。じゃあわたしと一緒だとどういうシチュエーション?」

「まあ、親子よねえ」


 桜花がかわいらしく王子様に問いかけると王子様はごく常識的なリアクション。桜花はそれに更に続けた。


「なら、王子様とお姉ちゃんとわたしで行けばいいじゃない」

「あら。それはどういうシチュで?」

「お父さん・お母さん・娘!!」

「な!?」


 桜花。なんという爆弾発言を・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る