探偵はついに本性を見せる
あっけなかった。
ハヤテじゃなく、
「ケリー、アパートが見つかったわ。カイザー本人も在宅よ。すぐに来られる?」
「ああ。王子、銃を持って行っていいか?」
王子様のスマホから、確かに『銃』という言葉が聞こえた。
「ダメよ。
「なら、その小娘を帰らせろ」
「ダメよ。アパートを見つけたのは桜花クンよ」
「だから?」
「桜花クンには見つけてしまった責任があるわ」
正確に言うとカイザー自身はハヤテが見つけていた。コンビニの駐車場で。
けれども彼がどの建物に帰るのかは掴めなかった。尾行を巻く技術も一級品なのだ。
プロの探偵として一級品のカイザーは、けれども桜花の心から煩悩を宿さない姿にほんの一瞬だけ気を緩めたのだ。
ううん、というよりも幼稚園児に警戒心を抱く素振りを見せることは却って挙動不審で目立つっていう判断だったのかもしれない。
桜花が尾行してカイザーが入ったのを見届けたアパートは木造モルタル築50年のボロボロアパート。
こんなところに法にギリギリ触れるか触れないかの危なげなマネーで豪奢な生活をしているはずのブラック起業家たちがたむろしてるなんて。
それよりもさ。
「王子様。桜花が『見つけてしまった責任』て何? それを桜花に取れっていうの?」
「責任を取れとは言わないわ。ただ、5歳であろうと事実を認識する必要があるわ。それと、カイザーが桜花クンに危害を加える危険が取り除かれるのをこの目で見届けないといけない」
「なんのこと」
「ケリーはカイザーを殺すわ」
・・・え!?
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