探偵は無慈悲に仕事する

 最近は依頼のバリエーションも多種多様になってきた。


 ①「今度来る転校生をバスケ部にスカウトしたいので潜在能力を調査してほしい」

 ②「昨日から姿の見えない亀を捜索してほしい」

 ③「片想いの彼の本音が知りたい」


「うーわー! 忙しすぎるー!」


 先行した依頼があったので上記3つの案件を王子様だけではこなせずに、田代さんの応援を借りた。


「長閑なもんだなあ」


 田代さんは本社に入ってくる全案件のマネジメントをしてるので、洋館ブランチ支店の案件がまるで遊びみたいに思えてしまうのだろう。

 いやいや、実際『なんだこれ』っていう気がしないでもないけど。


「では。『①フリースロー一本やらせろ②水槽の下を探してみろ③知るかそんなんもん』で願います」


 10秒とかからなかった。


 ①「ありがとうございます! ブラフはったりもいい所でした!」

 ②「ありがとうございます! 水槽の下でエサ食べてました!」

 ③「ありがとうございます! そうですよね。分からないから恋って楽しいんですよね!」


「全解決。案件終了。では」

「田代~。せっかく来たんだから遊んでお行き~」

「社長、うっさい。以上。帰社する」

「まるで別企業みたいに言わないでよ~」

「いや。財布すら別だと思ってるから。本社の足、引っ張るなよ?」


 田代さん、行ってしまった。


「うーん。田代さん、カッコイイですねー。仕事のできる男、って感じ?」

緋糸ひいとクン。探偵は義理と人情だよー」

「王子様、『ぎりとにんじょう』ってなに?」

桜花おうかクン、客観的かつ具体的ってことよ」

「わあ。わたしもギリとニンジョーがいいな」

「王子様。桜花に出鱈目教えないで」

「うえーん!」

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