探偵は猫も杓子も可愛がる
「ノーラン!」
「
王子探偵社・洋館ブランチで再会を果たすノーランと三都くん。と三匹の子猫たち。
「かーわいい!」
三匹の子猫と戯れる
桜花もカワイイよ。
「ありがとう、
三都くんは元気よくお礼を言ってくれた。
あとは残金をいただいて依頼完了!
となるはずが、三都くんは追加のオーダーをしてきた。
「復学したいんだ」
思ったとおり三都くんの高校休学はいじめが原因だった。
それも金銭を強要される相当えげつないものだったらしい。しかも高3の三都くんをいじめていたのは2年生の子たち。
「緋糸ちゃん、中学の時みたいにいじめる奴らをやっつけてよ?」
別に三都くんが女子のアタシを頼る情けない男子なんて思わない。
どんな屈強な大人の男だって恐喝や傷害を受けたら警察に頼らざるを得ないんだから同じこと。
アタシが気にしてるのは、そんなことじゃないんだ。
その辺は王子様が分かってくれてた。
「三都さん。緋糸クンはね。そのことに触れたくないのよ」
「ど、どうしてですか、王子様?緋糸ちゃんは そんなに強いのに?」
「三都さん。強いってなにかしら?」
「弱い人とか困ってる人を助けること?」
「助けるって? 誰を?」
「だ、だから、弱い人とか困ってる人を・・・」
「緋糸クンが病院送りにした男子たちも困ってたわよ。受験全部落ちて『行く高校が無い』って」
「そ、そんなの自業自得ですよ」
「じゃあ、三都さん。アナタが高校を休学したのも自業自得?」
「え・・・」
王子様は正しい。
でも、アタシは三都くんのプライドをなんとか保てる形で『助けたい』。
「三都くん。いじめられてた子はね。マンションの屋上から飛び降りて、死んだの。アタシがやったことはね、結局6人のいじめる側の男子を病院送りにしただけ。そしてアタシも高校へ行けなくなった。誰も救えてないの」
桜花もさすがに話の内容の重さを感じたのか、黙って子猫を撫でている。
王子様がもう一度三都くんに訊く。
「助けるって、誰を?」
ずっと俯いてたけど、三都くんは顔を上げてきっぱりと言ったよ。
「僕を、助けてください!」
アタシも、桜花も、王子様も。
にっこり笑って答えたんだ。
「依頼成立!」
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