夏、君に溶ける。欠片を拾う。

七夕夜、再び


また七夕がやって来る。応答せよ。

惑星探査に向かったままのロケットは、果たして何処にいるだろう。



最早、君が本当にいたのかどうかも、不確かだ。

何かの陰謀で、少なくともあの時の自分に

もたらすために用意された罠。



1年に1度は想い返してしまう。

七月が来ると思っただけで

六月後半から去来するものに気づかぬ振りはできない。



涙を流す写真の中。

映ってなくても揺れて涙のラインを描く。

何を撮っても、同じように。

わざと揺らすことなく、勝手に描かれる水彩画。



廃れた宇宙基地に、一機のロケットが不時着する。

砂嵐の中、一人の宇宙飛行士が降り立ち、煙草を吸いはじめる。



その存在しない、ゆらっとした煙がたなびく時

宇宙の彼方で烽火が上がり

私の中で、亡霊のような君が

いまだに生き続けていることを知る。




堪らない。もう、思い出さない。


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