第13話 計画実行に向けて
「遅い」
教会の前まで引き返すと、仏頂面のリルが待ち構えていた。
「悪かったって。そう怒るなよ」
ガイとラティオにとっては、あっという間だったのだが、一人待たされたリルは長く感じたのだろう。いつの間にか村人たちはすっと引いて人っ子一人いなくなっていた。みんなリルが怖くなったに違いない。
「行くよ」
リルは、冷たく言い放つとくるりと向きを変えた。
「ちょっと待てよ。村長にも会って行きたいんだ。お茶するくらいの時間はあるだろ?」
ここで帰られてしまっては、せっかく教えてもらった計画が実行できない。ガイは必死だった。
「……好きにすれば?」
リルが深いため息をつく。呆れ返っているらしい。なんだか投げやりだ。
「よし。じゃ、決まりだな。ラティオ。行こうぜ」
ラティオの方をちらりと見て、村長の家に行くよう促す。
「そうっすね。みんなで行きましょう」
ラティオも元気よく答えてくれた。しかし、
「みんな?」
リルだけは腑に落ちないという顔をしている。
「そう。リルのこと、紹介したいんだ」
にこりとガイは、笑ってみせた。本当は恋人だと言いたいが、そういうわけにもいかない。物事の順序はきちんと守るつもりだった。
「わかった。ついていけばいいんでしょ?」
リルは再び深いため息をついた。
「わかればよろしい」
これで計画が実行できる。ガイは内心浮かれていた。
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