第8話『伝説力士』

「「巨人!?」」


観客も力士も視聴者も我々読者も、そう錯覚したのは無理はない。

昭和の英雄大銀河は前代未聞の128連勝を果たした文字通りの大横綱グレートチャンプであった。日本人であればこの巨人の取組を知らないものはいない、その現役時代の姿が巨大な幻影となって襲い掛かったのだ。巨大な《発気揚々》を受けて後ずさる力士たち。一方で、動じないのは外国人横綱万寺とバイオ生命体の時限ゼミだ。


「SHHHHH!!!!」


耳をつんざくハウリングシャウト!

しかし、大銀河は動じず教科書通りに組み、上手投げで時限ゼミを転がした。


「~~ッ!」


一方、万寺はメキシコ力士特有の陽気なリズムで肉達磨へ突進する。肉達磨もぶちかましで応戦する体勢だ。


「「ドッソイ!!」」


轢------ッ!!!!


衝突寸前の万寺を横から大関大失恋が押しのけた。万寺が土俵を割る寸前で踏みとどまり振り返ると、そこには大失恋のが残っていた。


肉達磨の代名詞肉電車が大失恋に直撃した痕跡だ。現役時代の土俵上での殺害人数はギネスレコードにも載っている。ロイヤルランブルの熱気が発達し過ぎた筋肉をテーピングで抑えなければ日常生活もままならないほどの肉達磨のガチンコ押し相撲を復活させていた。


「い~い、弟弟子を持ったな!!」


「……!!」


万寺の褐色の肉体を冷や汗が包む。


両伝説力士から等距離を保つ八極弾は冷静に思案する。


「まずいことになったぜ、急げよ……!!」


【残り5名】

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