妄想空間を妄想する

 小学校で教わるのによく分かっていない磁力。そして、毎日身近に感じながらも実はあまりよく分かっていない重力。それで宇宙のことを考えるのだから無謀と言えば無謀ですが話を進めましょう。

 で、光とは関係なさそうな重力の話をなんでしたのかと言うと、先にお話ししたように光が重力によって曲げられるからなんです。重力が光の進路に影響を与えるのだとすると光が伝わる妄想空間は重力の空間なんでしょうか?

 いやいやいや、重力はという言葉があるように、重力も波で伝わるとされる一つの見えない力です。見えない力だという事はつまり重力も光と同じように宇宙空間ではなく妄想空間を伝わっているのでしょうか。

 思い出してほしいのですが、光は電磁波で、電磁波とは電場と磁場の絡み合った物で、それが妄想空間を伝わるのだと考えましたね。そして、その磁場を伝わる磁力は離れようとする力、せきりょくの事ではないかと話しましたね。磁力が離れようとする力なのなら磁場と絡んで電磁波を作る電場も又離れようとする力を伝えていると考えられ、つまり、電磁波そのものは離れようとする力であり、それが妄想空間を伝わっていると考えられます。

 とすると、離れようとする力である電磁波と、引っ張ろうとする力である重力が同じ妄想空間を伝わるというのはどうも考えにくいとは思いませんか。

 例えるならオセロとチェスを同じ盤面上でやるようなもんです。……ちょっと違うか。

 じゃあ、重力と磁力を含む電磁波は別々の空間を伝わるのだと考えればどうだろうか。つまり、この宇宙空間とは別に妄想空間が二つあると考えるのです。一つは重力を伝える空間で、もう一つは電磁波を伝える空間です。そして宇宙空間は二つの妄想空間に接していると考えます。想像しにくいかもしれませんが、こう考えてみてください。

 ここに一本のカステラがあります。この一本のカステラを半分になるように二つに切って、一つは青く、残されたもう一つは赤く着色します。この着色された二つのカステラを元通りにくっつけると半分青く半分赤いカステラができあがります。

 さあ、このカステラの青と赤の境目に新しい世界ができました。赤と青の間の二次元の世界です。あくまでも境目ですから厚みなどありません。赤と青に挟まれた厚みの無い平らな世界です。

 この平らな世界に人間がいたとすると、世界自体が平らなのですからもちろん人間も平らです。さて、この平らな人間には平らな世の中はどのように見えているでしょうか。多分青と赤が同じ割合で空間に存在しているように見えるはずです。

 私たちが住む空間で想像しましょう。目の前を青と赤の粒子が漂っています。青と赤が混じり合って結果的に紫色に見えるでしょうけど、赤が多い場所ではより赤っぽく、青が多い場所ではより青っぽく見えているはずです。何かの加減で青の全く無い場所があれば赤く、赤の全く無い場所があれば青く見えるでしょう。

 このように、私たちの住む宇宙空間が、重力の伝わる妄想空間と電磁波の伝わる妄想空間に同時に接していると考えれば、この宇宙空間に重力と電磁波両方が同時に存在しているように見えるのではないでしょうか。

 え~、面倒臭いので今後は、重力が伝わる空間を妄想重力空間、電磁波が伝わる空間を妄想電磁空間とします。

 では、宇宙空間と二つの妄想空間はどのように接しているのかを考えてみたいと思います。

 もしかして、ボールが三つ並んだような状態を想像した人がいるかもしれませんね。真ん中が宇宙空間、両脇の二つが妄想重力空間と妄想電磁空間だとすると、宇宙空間は確かに二つの妄想空間に接していますが、宇宙空間全体が二つの妄想空間に接していなければならないのでこれでは条件を満たしていません。二つの妄想空間に宇宙空間全体が接するという条件を満たす姿は幾つか考えられます。

 まず一つ目です。ずーっと広がった妄想重力空間を想像してください。全体が妄想重力空間です。そこに小さい穴が開きます。空間に穴というのも想像しにくいですが、まあ、紙に小さい穴が開いたくらいに考えてください。そこからまるでシャボン玉が大きくなるように妄想電磁空間が広がり始めます。この妄想重力空間とシャボン玉のように広がった妄想電磁空間の境目が宇宙空間です。前に2次元の話をしましたが、境目は2次元ですので厚みはありません。とにかく境目が宇宙空間です。厚みがないのに内側外側というのも変ですが、内側が妄想電磁空間、外側が妄想重力空間と接しています。条件通りですね。最初に空いた穴から妄想電磁空間が流れ込む限りシャボン玉は膨らみ続けます。つまりシャボン玉の表面である宇宙が膨張し続けるということになります。あと、当たり前ですがこの宇宙空間は2次元ではなく3次元空間ですので、妄想空間は4次元以上になります。

 次に二つ目です。妄想重力空間と妄想電磁空間がそれぞれに存在します。両方とも球体、そうですねぇ、丸いゴムまりだと考えてください。これがお互いに近づきまず点で接します。接した状態から更に二つのゴムまりを押し合うと接している部分が変形し円形に平らになります。この押し合っている部分は面になりますが、私たちが住むのは面ではなく面の周りにある線の部分。これが宇宙空間だと考えられます。

 妄想重力空間と妄想電磁空間押し合う限り円は大きくなり続けますので円の周りの線の部分は伸び続けますから、宇宙は膨張を続けるということになります。もしもこの二つの空間が押し合うのをやめ離れ始めたら宇宙は小さくなり始め、離れてしまったら宇宙そのものがなくなります。ところで、線というのは1次元ですが宇宙はもちろん3次元ですから、もし1次元で表されている宇宙を3次元にしたければ妄想空間は5次元以上になります。

 そして三つ目。これは二つ目と似ていますが違うのは近づいて接触した後の話です。二つの球体が近づいて接触するように見せかけて、そのままお互いに押し合わずにスーッと通り抜けてしまいます。イメージとしてはお互いに相手の中をすり抜けていく感じです。通過していく過程で円形の重なり部分ができますが、この重なり部分の円型の円周の部分、ここが宇宙になります。妄想宇宙の大きさにも限りがあるので、宇宙の膨張は途中で止まり小さくなり始めて最後は消えてしまうという事になりそうです。妄想空間に大きさがあるのかという疑問も出てくるかもしれませんが、二つが近づいて接触すると考えている時点で大きさがあるという前提で考えていますから、今更という感じですかね。これも二つ目と同様妄想空間は五次元以上になります。

 今、三つの宇宙像というのを考えてみましたが、まあ、あくまでも妄想ですし何の裏付けもありませんから、この辺りは忘れてください。

 とにかく宇宙空間は二つの妄想空間に接している、ここだけは忘れないでいてほしいと思います。

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