重力って何だろう

 それではここから妄想空間とはどんな空間なのかということを考えていきましょう。

 何よりも大事なのは光が伝わるということです。何故かというと光等の電磁波が伝わる空間を妄想空間だとしたからですね。

 さて、光の特性として、強い重力があると曲がってしまうというのがあります。重力によって光は曲がって進むというのは、アインシュタインの予言でもありますが、実際に観測もされているのでこれはこのまま受け入れてしまいます。因みに、アインシュタインの考える光の曲がるメカニズム…という表現もおかしいですが、光が曲がるメカニズムはこうです。

 重力によって空間が曲げられてしまいます。空間が曲がると言われてもピンときませんよね。で、イメージしやすいように目に見える状況で想像しましょう。

 一枚のシーツを頭に思い浮かべてください。どんな色でもいいです。好きな色にしてください。このシーツの四方の角をピーンと外側に引っ張ります。このピーンと引っ張られたシーツが宇宙空間です。光はこのシーツの面に沿って進みます。

 このシーツの真ん中に適当な重さのボールを置きます。このボールが星です。ボールを置くと、シーツの上の、ボールの置かれた場所がへこみます。このへこみが空間の曲がりであり、重力を表しています。

 さて、太陽と地球を思い出してみましょう。ニュートンの説明によると、星と星はお互いに引っ張り合うことになっていましたね。地球と太陽がお互いに引っ張り合っていて、太陽の方がものすごく重いので、地球は太陽の周りを回っているのだということになっています。

 ここで、先ほどのシーツの話に戻ります。シーツの上に置かれたボールが太陽であると考えてください。最初に置かれたボールの少し離れた場所にもう一個ボールを置きます。おそらく、二つのボールは互いに近づき、最後にはシーツの上でぶつかってしまうでしょう。ボール同士の引力によってぶつかるのでしょうか?違いますよね。二つのボールがそれぞれにシーツにへこみを作って、それぞれのボールが相手のへこみに向かって転がった結果です。この空間のへこみが重力の正体だとアインシュタインは言っているんです。

 さて、光には重さがないということになっていますから、もしもニュートンの説明の通りだとしたら重さの無い光が星の重力に引っ張られるわけは無いですよね。でも実際には光が、星の重力で曲がっているように観測されています。

 先程の話のように、もしも空間がボールの置かれたシーツのように曲がっているのであれば、光がまっすぐに進んでいるつもりでも、光の通り道である空間が曲がっているので、結果的に曲がって進んでしまうというのがアインシュタインの説明です。

 これはこれでまったく問題ありません。筋が通っています。ただし、もしも宇宙空間が実際に重力によって曲げられているのであればですが。

 あ、もう一つ大事なことを忘れていました。重力の大きいところでは光の速さが遅くなります。え?光速度って不変じゃないの?っていう声が聞こえますね。これも空間の曲がりが関係しているというのがアインシュタインの説明です。重力の大きい場所は空間が曲がっている分長い距離を進むことになるから、それだけ遅くなっているように見えるということらしいです。

 ということで、物体によって空間が曲げられ、その曲がりが重力である、と現在では考えられています。

 で、重力って何?とは思いませんか。「さっきから空間の曲がりが重力だって言っているけど、じゃあ重力って何よ、万有引力とどう違うの?」と考えるのは当然です。

 万有引力というのは、全ての物質が持っている、他の物質を引っ張る力です。例えば目の前にボールペンがあるとしましょう。ボールペンのすぐ近くにいる私にはこのボールペンを引っ張る力があり、このボールペンも私を引っ張ろうとする力があります。つまりお互いに引っ張り合う力があるということです。しかし、その力はあまりにも小さすぎるために、目に見えてわかるわけではありません。

 目に見えて、と言うよりも、月が地球の周りを回っていたり、地球が太陽の周りを回っているのはこの万有引力のなせる業と考えられているのです。

 ところがです、私たちは地球から引力ではない力を受けています。それが重力です。皆さんご存知の通り地球は独楽のようにクルクルと自転をしています。そうすると遠心力という物が働きます。…とか言うと遠心力なんていう力は無いなんて言い出す人が出てきますから、ちょっと言い方を替えます。

 その場でバレリーナみたいにグルグル回りながら両手を左右に広げてみましょう。両手が外側に引っ張られるような感じがしますよね。って言うか下手すると指先がチョー痛くなりますよね。これは手が体の中心から遠くに飛んでいこうとしているからですね。

 これと同じことが地球上でも起こっています。実は地球表面上にある物体は地球の自転によって宇宙空間に飛ばされようとしています。しかし、地球の引力の方がものすごく大きいから飛ばされずに済んでいます。この地球の引力と宇宙空間に飛ばそうとする力の差が重力です。

 重力は北極とか南極よりも赤道上の方が小さいです。なぜかというと、北極とか南極では回転する距離が少なくて済むので、宇宙空間に飛ばそうとする力は赤道上の方が大きいからです。赤道上と北極に同じ秤で同じ分銅を計ってみると、赤道上で測るよりも北極で測った方が重くなります。これは本当です。

 ということで、引力というのはお互いに引っ張り合う力で、重力というのは実際に感じる引っ張られている力のことだと思ってください。

 これで重力という物が分かっていただけたかと思います。その重力によって空間が曲げられていると考えられているわけです。アインシュタインの説明はここまでです。残念ながら、重力によってなぜ空間が曲げられるのかの説明はありません。

 物体があると空間が曲げられてそれが重力となる…それはなぜ?一体物体の何が空間を曲げているんでしょうか。それは質量です、という答えはよく聞きますが、では、質量の何が空間を曲げているのですか?残念なことに現在まで、それに対する答えはまだ分かっていません。おそらくこうではないかという考え方はあるそうですが、私にはそれを説明するだけの力量は無いので省略します。

 兎に角、磁力にしても重力にしても実のところ、よくは分かっていないということです。

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