ただ、夏を

 ‪強く在れと呪った。‬


 ‪何も要らない。私の心の拠り所になどさせてやるものか。誰にも迷惑かけない、不遜で傲慢な人生を。何も要らない、誰からも愛されてやらない。‬


 ‪かつて確かにここに在った夏を殺して、存在しないあの夏を作り上げて、存在しないあの子を作り上げて、存在しないあの子に愛されない。さぁ武器ペンを取れ、夏が来る。感傷の暴力に立ち向かえ、その全てを細大漏らさず書き遺せ。‬


‪ そんな生を。‬

 ‪そんな夏を。‬


 ‪──ただ、私は。‬


‪ ただ──。‬

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