第6話 転生

船の中

指定席のようだ。

俺と紅葉さんは、隣り合わせ。


「双子だからね」

「ああ」

紅葉さんの言葉に頷く。


「私たちは、二卵性双生児だからね」

「一卵性は、男女の割りわいがかなり低いからね」

「うん」


「紅葉」

「何?」

「性格はどうなる?」

「前世の記憶があるから、基本は変わらないけど修正は出来るね」

「修正?」

「後悔していること、あるでしょ?私もだけど」

全くだ・・・


一緒に乗船した魂は、次第に下船していく。


「あの人たちは、前世での記憶は残るか?紅葉」

「残らないよ。私たちは特別・・・」

「そっか・・・」

前世の記憶は、忘れた方がいいかもしれない・・・


「さあ、勇気くん。下りるわよ」

「仕切るね」

「うん。私がお姉ちゃんだからね」

紅葉が手を差し出す。


「よろしく、弟くん」

「よろしく、お姉ちゃん」


そして、それから程なくして、俺と紅葉は、あのバカップルの子供として、

新たな生を受けた。


前世の事は記憶にあるが、胎児の頃はさすがにない。

でも、当たり前だが既に自我がある。


命名は、紅葉と勇気と名付けられた。


「勇気くん、いい?」

「何が?」

「20歳までは、普通にね」

「ああ」


赤ん坊が、こんな会話をしていたら、怖がられるな・・・

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