真剣師事件・二
黒幕感満載だが、女以外は気にせず質問をする。
「二つ問おう」
「良いぞ?」
「お前は証拠品を庇うのは首を切らせるよくに指示をした主犯格だからか?」
「違うな、忖度殺人は殺人教唆にはならない、これも似たようなことだ」
「そうか、なら貴様と加害者、そして被害者の他に誰かいたか?」
「『四人目』がいるかどうかじゃなぁ、もしもいたならどうなる?不都合か?」
ニチャアと老人は笑う。
「質問を質問で返すな」
「事件としては密室殺人、床が血濡れてる、ゆえに状況証拠がある、それだけじゃ」
修羅院は得意そうに言う。
「それだけ?」
「押し入れと窓しかない部屋じゃよ?」
「その部屋に入る扉の数は二つある」
「で?」
老人は笑みを崩さない。
「それに両方襖だ、密室殺人ではない」
「いいや、密室殺人じゃよ、その部屋には『結界』が張ってあった」
老人はその答えをオカルト的に否定した。
「『結界』?」
「『結界』は襖を開けなくさせる、加えて誰もその部屋の四方に張った結界は誰も侵入する事が出来なくなる……」
老人の言うことを少しあると認識してみて推理してみる。
「和室で密室殺人が出来るようになると言うことか、それを仮にあったと想定したら、そうだな、その将棋の立会人が結界を張ったのかな?」
「それが『四人目』じゃと?」
「そもそも立会人無しで真剣師同士の個人的な対決はしないだろ?」
俺は現場に残っていた足跡、ゲソ跡から『四人目』がいることは知っていた。
「二つの質問させておいて悪いが、わしがどちらかは嘘と言っている可能性もあるぞ?」
老人はそんな事を言う。しかし、俺は確信を得たからこそここにいる。
「なら、凶器はどこだ?どこに隠した?証拠偽造のための安物ナイフではないだろ?」
俺は将棋盤をひっくり返す。
「な、何をする!」
その叫びを気にせず、そして四つの支えている脚の一つを引っこ抜いた。 将棋盤の脚は伝統的な建築物の装飾などに用いられる擬宝珠(ぎぼし)型の八角形をしているが、その形がクチナシの実に似ていることから、第三者が勝負に口を出すなという意味がある。
抜いた脚の先には短い刃があった。
要するに仕込み刀である。
「これが凶器だろ?」
「それがどうした?」
彼は返す刀で悪びれず言った。
「これで何人殺した?そこの壁尻になっている女の両親はどうした?」
余裕を崩さず彼は説明をする。
「高位市民と下位市民の間で行われる賭博は下位市民にどんな勝負であっても下位市民側には無理矢理人権を賭けさせるのがルールじゃ、下位市民の身内を代わりに賭けさせる事も可能であり、アイツはそれを嬉々としてやった、じゃが『アレ』はなんじゃ?」
「『アレ』?」
彼は一転して震え出した。何かこの世のモノとは思えないおぞましいモノとの脳片にこびりついた記憶に恐怖しているようだ。
「隻腕の男じゃった、被害者は隻腕の男の持っていた長い鎌で首を切り裂かれた」
「………死神?」
彼は連続して頷き続ける。
「かもな、『アレ』は言う、『この女の宝石のような魂は私が奪った』とな」
「魂を盗む死神怪盗か………」
俺は殺人鬼アルカナの復活したのを認識した、修羅印はそれを不気味がりながら震える手で髭を刺さる。
「わしの立会人の『結界』に侵入されたのはそれが初めての出来事じゃったなぁ、いや、そういえば、お主もか?」
「なら、これで三回目だよ」
天井から美少女が起きていた、空から美少女が落ちてきたならテンプレだが、テンプレでない点がもう一つある彼女は海外の刃物、ファンタジー作品にありがちで、中世以降では好まれて使われたレイピアを持ち、それで修羅印の頭を落ちながら刺し終えた。
「死に晒せ!」
逆串刺しと言える残虐行為り
「あがっ」
修羅印は脳を傷つけられて死んだだろう、それぐらい鮮やかな暗殺であった、そのまま右足を左肩に、左足を右肩にそれぞれ置いて刃物を抜きながら、更に後ろに飛び跳ねた。
空中一回転以上はしたと思う。
彼女は俺の目の前に立ち、こう紡いだ。
「敵の敵は味方、なら、お前は味方だな、敵とか言ったらブチ殺すぞ?」
剣呑な雰囲気のまま彼女はレイピアをこちらに向けながら言ったが、彼女の殺気を感じてしまいかなり怖かった。実際、それはただ漏れ出しているらしく、壁尻となっていた女は実際、失禁していた。
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