第六話 灰色の使者
「おはよう、雪」
「おはよう、柊」
俺は自室から出、リビングに座っていた雪に挨拶をする。
「おや、導きの竜が見つかったら、両親への挨拶は無しかい?」
「気づかなかっただけだよ、母さん、父さん」
「ふぅん、まぁそういうことにしておくよ」
母さんは少し笑いながらそう言うと、机の上に人数分の食事を用意する。そんな時。コンコン、と家の扉を叩く音がした。
「こんなが朝早くに一体誰かしら?」
母さんが扉を開けると、そこには黒装束の人が立っていた。
「あ、あなたは?」
母さんが恐る恐る聞くと、黒装束の人は淡々とした口調で言った。
「私は最も司る竜神様、
黒装束の人の言葉に、母さんは嬉しそうに「はい!いますわ!うちのが息子ですもの!」と
「いえ……あなた方はこれより、戦竜が行う昇竜の儀に参加されました」
その言葉に、俺は少し心が躍る。両親はその姿に、誇らしさと微笑ましさを混ぜた表情をした。その姿を黒装束の人は見回すように全員を視線に捉えると、話を再開した。
「それでは、あなたお名前をお聞きしてよろしいですか?」
「えっと、
「冬洞様ですね。私は最も司る竜神様、
灰と名乗った黒装束の人は、フードを取り、顔を見せた。名前に沿うように髪と目は灰色で、穏やかな声音と表情の中に鋭いものを感じる、
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