第四話 竜人化

「ふぅ……新ためて、私の名前は雪・・・・・・。よろしく、柊」

 俺は驚きで声を失っていた。何故なら、今まで偉大さを感じていたその姿は可憐かれんで美しい、白髪の少女へと成り変わっていた。

「えっと、雪、君、女の子だったのかい?」

 俺がそう言うと、雪ははにかんで言う。

「えっと、竜の時は威厳があった方が良いって言われて。人の前だけでもそうしようかなと思って……」

 確かに、今の話し方で話されても、威厳も何も感じられない。逆に可愛らしく聞こえてしまうだろう。なるほど。

「と、取り敢えず、これからよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

 俺達は誰も居ない森の湖畔で長々と礼をする。

「「……」」

「ぷっ、ははははは」

「ぷっ、ふふふふふ」

 俺達二人は数十秒笑い続けた。その後俺達は、魔猪を血抜きなどを含む解体をし、雪に竜化してもらい、背中に魔猪を乗せた状態で、家に帰った。家へは三分で辿り着いた。行きは二時間程掛かったので、四分の一である。飛ぶってすごい。そして村の広場に降りると多くの人が呆然として見ていた。

「おーい」

 俺が手を振ると、最初に小さい子供たちが気づき、「すげー!」や「かっこいい!」と騒ぎ始め、それを聞いて、大人たちは状況を理解したように俺の名前を呼ぶ。雪が地上に降りると、村の大人たちが取り囲む。

「しゅ、柊!この竜はなんなんだ!?お主がどうしてまたがっている!?」

村の男が、動揺したように大声で聞いてきたので、俺は少しだが自慢気じまんげ言う。

「この竜は俺と契約した竜だ。俺は竜の導かれ手になったんだ!」

 俺が言うと、村は大いに盛り上がった。

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