第二話 竜を目指して

 翌日の朝、俺は父さんに教えてもらった通りの山道を通る。その道は険しく、自然にあふれていた。野生動物や、もちろん魔物も。

「畜生!」

 俺は山道を走り抜けていた。何故なら、後ろから五メートルを超える魔猪まちょに追われているからである。魔猪は木々を薙ぎ倒しながら俺へと迫る。魔物は基本肉食なので、魔の魔猪も俺を朝御飯にするつもりなのだろう。冗談じゃない。その時、俺は少し広い丘、いや崖にたどり着いた。もう逃げ道はない。俺は手に持っていた鉄刀を強く握る。

背崖はいがい個陣こじんだコンチキショウ!窮鼠猫きゅうそねこを噛むぐらいはしてやるわ!」

 俺はヤケクソにそう叫びながら、魔猪に向かって走ろうとした。だがその前に、魔猪の体重に耐えきらなくなった崖が、大きな音を立てて崩れ落ちる。

「うわあぁぁ!」

「プギイィィ!」

 俺と魔猪は、崩れる崖に飲み込まれ、下へと落ちて行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る